EAPとは、Employee Assistance Program(従業員支援プログラム)の略称であり、職場のメンタルヘルスに関する支援体制を総称する言葉です。EAPに関する世界的な機関である米国EAP協会 (Employee Assistance Professional Association)では、 EAPを次の2点で定義しています。
1.職場組織が生産性に関連する問題を提議する。
2.社員であるクライアントが健康、結婚、家族、家計、アルコール、ドラッグ、法律、情緒、ストレス等の仕事上のパフォーマンスに影響を与えうる個人的問題を見つけ、解決する。
このように、EAPの元々の定義は、メンタルヘルスの支援だけにとどまるものではなく、「社員の個人的な悩み」の全般と、「組織の生産性」に関する総合的な支援を含みます。
しかし、現在の日本では一般的には概ね、メンタルヘルス関連のサービスとして定着しているようです。
EAPは、会社が自社部門として設置する場合もありますが、多くはEAP専門企業に委託して運営しています。
米国では、大手企業のほぼ全て、その他の企業でも大半がEAPを導入し、EAP専門企業の数も1万社を上回るといわれています。
日本においても、この数年で急速に普及しています。
企業にとってのEAPを導入するメリットは、従業員に対するメンタルヘルス支援の実施により、離職率の低下や、業務効率の向上が実現し、そのため企業の全体的なコストパフォーマンスの向上に直接的に寄与する事です。また、メンタルヘルスの社会的な認識が高い今日において、社員の心身の健康管理体制を充実し、働きやすい職場をつくる事、またメンタルヘルスの問題に継続的に取り組む企業姿勢自体が、従業員や社会からの評価が得られる事なども、企業にとってのEAP導入の動機となっています。
従業員にとってのメリットは、会社が用意する制度を活用して専門家からの適切な支援を得られる事です。また、会社のサービスでありながらも、機密保持を前提とする第三者により運営されるため、原則的に上司や職場にも相談内容を知られることなく、サービスを気兼ねなく受けられる事にあります。