現役産業医が指南するストレス解消法⑥

『夫がウツにその時妻は』

自分がウツになった時に不可欠なのが家族のサポート。

では、どのようなことに気をつけてもらえば良いのか?

一番良くないのは『原因を聞く』です。
本人が言わない限り、原因のほとんどは仕事です。
そしてその原因のほどんどはどうしようもできないこと。
だから本人は言いたくない。

逆に不安や辛さ、身体の状況などは理解してほしい。なので、
症状を聞いてもらい、そのときどうしたいのかも聞いてもらう。
無駄なアドバイスは不用です」

医者に掛かるかについても注意を払いたいところだ。

「受診を勧められた時、多くの場合は拒否しないものです。
ただ、医者に行くことに抵抗がある場合は、
無理に受診する必要はありません。
様子を見ながら、期限を決めて、それに従うのが良いでしょう。

メンタル系の受診に抵抗を持つ人は、
メンタルクリニックに受診をするより、
めまいなら耳鼻科、おなかの調子が悪いなら消化器科など、
症状に合った科を受診する。

そして一緒に受診してもらい、検査がひと段落した時点で、
メンタル系を受診した方が良いのかを医師や看護師に聞いてもらう。
自分だけで悩まず、医療従事者を巻き込むことで、
心の負担が軽くなります」

その後の会社との付き合い方は?

「多くの場合、人はストレス源から離れることで、
悩みやストレスは減り、メンタルヘルス不調は改善します。
なので、基本的には仕事を辞めればたいていの場合、
その症状も病気も治ります。

一方、その時に「住宅ローンがあるから」、「次の仕事が見つからない」、
「近所にどのような顔をすれば良いの?」と
仕事から距離を置くことを許さない家族があることも。

この場合は簡単には治りません。

なので、最悪の場合に備えておくことが大切です。
治療により会社を休むことなく調子が戻れば良いのですが、
休まざるを得ない場合は、最長何か月休めるのか、
いつまでなら給与が出るのか、その後の傷病手当
(健保組合からの保証はいくらでいつまでか)などを知っておく。
その上で対策を練る。

私の元へ相談に来られたケースでは、
奥様がご主人に通院を勧めたところ、
本人も同意し、最初からメンタルクリニックに受診されました。

ご主人は、新しい職場の上司に他人のミスを被らされたり、
自分だけが沢山仕事をするようになっていて、
疲れて仕事を続けていく自信が無い、
辞めたいと言っているとのことでした。

主治医は『薬を飲み始めて、もうちょっと働いてみましょう』と、
睡眠導入剤と軽めの抗うつ剤を処方。
勤務を継続したところ、奥様のサポートもあり、
徐々に回復をしたとのことでした。
仕事を辞めなくてよかったと奥様。
ご主人に寄り添いながら治療に当たったのが功を奏したようです」

労働者の5~6割が何らかのストレスや悩みを持っている現代。
だからこそ家族に味方になってもらう必要がある。

次回は「不安やストレスに悩まない7つの習慣」