在宅勤務とコミュニケーション

みなさん、こんにちは。
キャリアコンサルタントの奥 富美子です。

株式会社パーソル総合研究所が行った
「新卒入社者のオンボーディング実態調査(コロナ禍影響編)」
(2020.12.21発表)があります。

https://rc.persol-group.co.jp/research/activity/data/new-graduate_onboarding.html

コロナ禍によって、新入社員の業務能力獲得、定着に「良い影響があった」
在宅勤務実施企業は、「悪い影響があった」企業に比べ、
人事担当者が「配属先の先輩社員、人事、同期、上司、
経営層、他部署とのコミュニケーション機会を増やした傾向
があったそうです。
「普段の業務で関わらない他部署の先輩とも、
幅広いネットワークを持っていることが組織・仕事への適応を促すと
考えられる」とありました。

業務に直接的にかかわらない部署の人とのコミュニケーションを
新入社員が自ら取ろうと切り拓くことは、
社内に誰がいるかも分からない状態でしょうから、ほぼないでしょう。
人事が「あえて機会をつくる」ことは重要だと思われます。
新入社員が自分の世界を広げるには、
「間に立つ人」「人と人を繋げる人」が必要です。
初年度は人事部門が率先してその役割を担うことが必要かもしれません。

また、上司によるビジョンや方向性の提示や、プライベートな話の傾聴は、
在宅勤務者にとって「会社への愛着、会社への感謝」に
プラスの影響があると示されています。

これは新入社員に限らず、上司部下の関係においても同じではないでしょうか。
ビジョンや方向性だけでなく、「部下である自分に期待していることは何か」を
分かりやすく伝えてもらえると、部下は自律的に仕事を進め、
必要な報連相を適切に行う力を養っていくのではないかと思います。

日本ストレスチェック協会のラインケア講座「みる・きく・はなす技術」に
おいて、「期待は示すもの」と紹介しています。
部下に対する期待を、上司は「勝手に」抱きます。
期待通りになっていないので指導しなければと、「部下のためを思って」
育成しているつもりが、指導態度や言動によっては、
部下からするとパワハラに感じる可能性があります。
期待を示されていないのに、「あなたには期待していたのに」や、
「あなたには期待しているから、がんばって」と言われてもこまります。
期待していること、期待の内容」を相手に伝えていなければ、
仕事ができる部下には育っていかないでしょう。

「プライベートな話の傾聴」があると部下は助かります。
部下が話したいことを、否定せずに聴いてくれる上司」を持てると、
その上司と一緒に働くことにプラスの感情を持つでしょう。

在宅勤務をしている入社2年目の方の
「オンライン・キャリアカウンセリング」をした際、
「今日は、誰ともしゃべっていない」との発言がありました。
よく聴いていくと、今日「も」であることが分かります。
「オンラインの朝礼終礼」で、チームリーダーと毎日話はするそうです。
これは「誰かとしゃべる」ことではないのです。
一人暮らしの若者が、ワンルームで黙々と無言で仕事をしている様子を想像し、
「人と対話すること・しゃべりかた」を忘れる若者が増えるのではないかと
心配になりました。

在宅勤務を含んだ働き方が普通となってきました。
オンラインを使いながらも「みる・きく・はなす」を社内・部署内に
いかに導入するか、模索は続きます。
「オンラインを使って、『あえて機会をつくる」こと、
どのような「オンライン・コミュニケーション」の機会とするか、
試して失敗して、また試して、をしばらくは続けていくことにしましょう。

奥 富美子(おく ふみこ)

国家資格キャリアコンサルタント 
きゃりあす 代表
https://www.career-as.com/