気になる若者たち

みなさん、こんにちは。キャリアコンサルタントの奥 富美子です。

『令和4年版 子供・若者白書』(内閣府・令和4年6月公表)には、『子供・若者インデックスボード』のページがあります。白書公表後にも、データの更新がなされています。『ver4.0 令和5年3月1日時点』を見てみましょう。

https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/r04honpen/board_01.html

「場ごとの認識」では、「家庭(実家や親族の家を含む)」「学校(卒業した学校を含む)」「地域」「職場」「インターネット空間」の5つそれぞれの場所が「①居場所になっているか」、そこには「②相談できる人がいるか」「③助けてくれる人がいるか」について記されています。①②③すべてで一番は「家庭」です。(平成19年度)

「①居場所になっているか」は、上述5つの場所に「自分の部屋」を加えた6つが、「ほっとできる場所、居心地のよい場所等になっている」かのデータです。

「自分の部屋:85.3%」「家庭:75.6%」につづいて、三番目は「インターネット空間:56.6%」です。地域よりも、学校よりも、職場よりも、「インターネット空間」です。

昭和育ちの人間にはインターネット空間を居場所にする使い方は難しく感じますが、自分なりに上手く使っている現代の若者たち、多くいるのでしょう。見知らぬ人とのつながりは、「安全」なものか疑いを持ちつつ利用することも忘れてほしくありません。

「居場所の数」「相談できる人がいる場の数」「困ったときに助けてくれる人がいる場の数」が多いほど、「自己肯定感、チャレンジ精神、今の充実感、将来への希望、社会貢献意欲」でみた「自己認識」が前向きだと記されています。

「周囲に相談できる人がいる、助けてくれる人がいる」と感じているから、安心してやってみようと思えたり、将来に希望を持てたり、他者のために何かしようという気になったりするのでしょう。「人とつながっている実感」を持てることが大切です。

一方、気になるデータがありました。「どこにも居場所がない:5.4%」、「どこにも相談できる人がいない:21.8」、「どこにも助けてくれる人がいない:11.3%」です。

授業を担当する教室に当てはめると、100人の学生の内、「どこにも相談できる人がいない」学生が21人、「助けてくれる人がいない」学生が11人もいるのです。教室のなかには「気になる若者」が相当な数で着席しているということに気づきました。小~高のように担任がいない大学で、科目を教えるだけの非常勤講師が、この気になる学生たちをどうサポートできるのか、悩みます。

「相談機関はある」「支援機関はある」「助けを求めてもいいんだ」ということを知ってほしいと思います。このメッセージを、機会あるごとに告げています。クラスメートでも教員でも誰でもいい。ひとりでいいので「この人なら自分のことを話しても大丈夫だ」という人を見つけてほしいと願います。その人と信頼できる関係を作ることができれば自信となり、自分の世界を広げてくれるだろうと想像します。

せめて授業中のグループワークで「笑う」ことが増えるようにと思い、笑顔が出るようなテーマ提供に努めています。緊張がほぐれた場でないと、自己開示はなされず、お互いの距離は近くならないのです。

授業中の教室では、まったく表情が動かず、笑うこともない学生も少なくありません。発言を求めて指名すると、名札を隠して下を向き無視をしますが、終了時にはわざわざ私のところに来て、「ありがとうございました」と挨拶をしてから退室する学生がいます。「集団の中では存在を隠したい。クラスメートとの交流など不要。しかし、教員には自分の存在を分かってほしい」と思っているように感じます。

別の大学では、最寄り駅の改札口からシャトルバス乗り場まで、警備の方たちが数人で案内をしてくれます。挨拶が飛び交っています。キャンパスもにぎやかです。ここの学生たちは、ニコッと笑顔が出る若者たちです。その笑顔に触れると私にはエネルギーがわいてきます。

若者の周囲にいる私たち大人がみな、返事がなくてもあきらめずに挨拶を投げかけることをしていけば、若者にもいつか、挨拶ができる自分に自信が持てたり、挨拶を交わす心地よさを感じたりするときがやってくるのではないかと思っています。大人の言葉かけが必要です。

奥 富美子(おく ふみこ)

国家資格キャリアコンサルタント・大学非常勤講師
きゃりあす 代表
https://www.career-as.com/