今日は、2015年に私が行った産業医面談の内訳データを私見とともにご紹介させていただき、また、2016年における産業医面談の目標についてシェアさせていただきます。
総論的には、年間1000人の働く人との面談は変わらず、P(過重労働面談を含むからだの健康相談)とM(ストレスやメンタル等のこころの健康相談)の割合はだいたい50/50で変わりませんでした。(グラフ以外に”上司”との面談も行っています。)
毎年1-11月の産業医面談のデータを集計し、12月の衛生委員会でシェアしています。上記が2015年の産業医面談の内訳となります。右下の小さい円グラフは2014年の1-11月です。
以下、3点私見と2016年の目標を述べさせていただきます。
【注意】クライエントにより産業医面や過重労働面談の面談者募集方法が異なります。また、業種も偏っていますので、このデータが、世間一般の働く人について繁栄しているものではありません。一人の産業医の経験している面談として、ご理解いただけますと幸いです。
1.過重労働面談者の、1割にメンタル不調リスクを認める
過重労働面談の定義等はここでは割愛しますが、クライエントにより過重労働面談の実施方法は様々です。昨年に比べると、より真剣にやっているクライエントが増えたことは嬉しいことです。ただ、そこでだんだんわかってきたことがあります。
私の経験では、過重労働面談にきた社員の約1割に、メンタルヘルス(またはからだの健康)のリスクを感じざるをえない人たちがいました。これは、一昨年もなんとなく感じていたことです。本人が自覚している場合も、自覚していない場合もありますが、「即医者に行こう!」とならなくても、「来月また産業医面談しましょう」とか、「会社に今の状況をお話しして就業制限つけたほうがいいんじゃない?」とか、実際に言ったケースが過重労働面談の10%にありました。これはかなり高い割合と感じます。
グラフからは分かりませんが、過重労働面談者は、有給休暇が消化できていない割合が高かったことも付け加えさせていただきます。
2.休職者のフォローアップ面談を導入している企業が増えてきた
私の015年の1-11月における産業医面談の、さらに詳しい内訳は以下となります。
私はクライエントに、休職者の産業医面談を積極的にすすめています。会社に来れれば会社で、これなければ電話で、行うことを勧めています。すべての企業で毎月できているわけであはりませんが、実施していただけている企業が増えてきているのは、嬉しいことです。
休職者の産業医面談を行うデメリットは、担当者の手間が強いて言えばあるかもしれません。しかし、それ以上の計り知れないメリットがあります。ここのメリットについては、過去のメルマガでも時折触れていますし、今年もメルマガにてその具体的メリットや、コツ、ポイントについてお話しさせていただきます。
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メリットの最たるものは、高い復職率、短い休職期間、低い再休職率、低いトラブル発生率です。ここでは、その理由と考えられる3つを挙げておきます。あくまで、私見ですので、ご了承ください。
- ・3分診療で終わってしまう診療行為ではできないサポート体制の実現
- ・メンタルDrは治療の専門家、産業医は働くことの(働けるようになることの)専門家
- ・多くは焦りからくる)復職準備のできていない段階での復職許可の診断書が出ないようになる
3.ストレスチェック制度の実施は、過重労働面談と絡めることが現実的かつ理想的かもしれない
昨年12月に始まったストレスチェック制度ですが、本格的に始まるのは2016年度(2016年4月)以降の企業が多いと感じています。
個人的には、この制度ので一番大切なのは、高ストレス者となった人がきちんと面接指導を受ける事だと思っています。ですので、手を上げない高ストレス者をどうするか、をいつも訴えてきました(これからもそうします)。ストレスチェックテストの受検は任意であり、高ストレス者の面接指導の受診も任意のこの制度、手を上げない高ストレス者をどうするかの答えの1つはここにあります。
- ・手を上げない高ストレス者が該当していれば、過重労働面談に呼ぶ。
- ・過重労働面談の際に、その人のストレスチェックテストの結果もチェックする。
- ・過重労働面談でもストレスチェックテストでも、産業医が”健康リスクを感じざるをえない”人には、従業員の納得のいく方で就業制限等をつける。
そのための、過重労働面談、ストレスチェック制度面接指導兼用報告書はこんな感じです。
以上、今年も、社員の満足、会社の納得のいく産業医活動を実践していきたいと思います。ストレスチェック制度はあくまでそのうちの1つにすぎません。ただ、年に1回誰もが自分のストレスやメンタルヘルスについて考えるとき、有意義な情報を艇庫湯できれば幸いです。今年もよろしくお願いします。