空間的・時間的ストレスには運動で立ち向かう【後編】

●身体を使って、ストレスに立ち向かう

また、人はストレス状況が続いたり、終わりが見えない時、
体の強張りとしてストレスを感じます。

この緊張した気持ち、硬くなった身体、縮こまった筋肉などを
どのようにほぐすか、リラックスするかです。
不安に上手に対処できている人たちは、その都度、身体を使うことで、
緊張を緩和しています。

その代表的な身体の使い方は3つあります。

・1つめは、有酸素運動やリズム運動。
水泳、ジョギング、エアロビクスなどの有酸素運動や、
一定のリズムを伴う運動をすると、脳内でセロトニンが
活性化すると言われています。

セロトニンはハッピーホルモンとも言われ、近年、
多くのうつ病患者の脳内で不足していることがわかり、
注目が集まっている脳内伝達物質です。
セロトニンには身体の緊張を和らげる働きもあり、これが増える
ことによって恐怖で緊張した気持ちを
落ち着かせてくれているのかもしれません。

たとえば、ガムを噛むのもリズム運動の1つです。
よく大リーグの選手が試合中にガムを噛んでいるのを見かけますが、
噛むことで不安や緊張を紛らわせているのでしょう。

・2つめは、100メートルダッシュ、腕立て伏せ、懸垂、筋トレなど強めの運動です。
人は何かの行動に集中しているとき、
他のことに悩んでいる暇はありません。
ダッシュをしているときに、昨日の喧嘩のことは思い出せませんし、
腕立て伏せをしている最中に、明日の会議のことを考えるのは、
なかなか難しいことです。つまり、強めの運動をしているとき、
人は不安なことを忘れているのです。

また、強めの運動負荷で筋肉ダメージを受けると、
その修復のために成長ホルモンやアドレナリンなど、
抗ストレスホルモンが多く分泌されます。
そして壊れた身体(筋肉)を修復したり、
負荷に対する耐性を作ってくれたりします。

強めの運動負荷で積極的に抗ストレスホルモンを出し、
緊張した身体を修復し、さらに耐性をつける。
不安に悩まない人たちは、意識するしないにかかわらず、
こうした習慣を持っているのです。

・3つめは、身体を動かさずに、その場でできる静止運動です。
たとえば、瞑想や深呼吸をしているとき、
人は自律神経の副交感神経が優位になります。
そのとき、緊張時に優位になる交感神経は活動が抑えられるのです。

瞑想や深呼吸の他にも、姿勢を正したり、笑ったりと、
いろいろな静止運動があります。
姿勢を正せば気持ちもシャキッとしたり、口角を上げたら気分が
上向いたりと、姿勢や表情を意識して変えるだけで、
気分が変わってくるということは、誰にでも経験がある
ことだと思います。
他にも最近では「笑いヨガ」なども普及しており、
笑うことの効果が広く知られるようになりました。

中でも私が個人的にオススメしたいのは、「上を向く」ことです。

すぐに実践できて効果も抜群です。
電車やエレベータ内など、最近は少し時間があると下を向いて
スマホをいじっている人を数多く見かけます。
そんなときは、試しに空を見上げてみてください。
人は上を向きながらだとなかなか憂鬱な気分にはなれないものです。

区切る身体を使う
ストレスに上手に対処できるようになるために、ぜひ、お試しください。



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【第1回】
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