(第2回)在宅勤務の環境・時間割で気をつけること【後編】

「メンタル不調を予防する在宅勤務のススメ」【後編】

在宅勤務でのメンタル不調を予防する2つめの方法は、着替えることです。

 私は在宅勤務者との産業医面談で、在宅勤務はオンとオフのメリハリがなく、寝るまでずっと働いている気分だとか、反対に、家だと仕事モードに入りづらいなどの声をよく聞きました。

 そのようなことを言う人で多かったのが、パジャマや部屋着のまま在宅勤務をしている人たちでした。会社によっては在宅勤務中の同僚とのコミュニケーションは電話などの音声のみの会社もあります。そのような場合は特に、着替えることが煩わしいようでした。

 一方、保育園への送迎やペットの散歩があるために、着替える習慣があった人たちからはそのような声をあまり聞かれませんでした。中には、出社する時につけている香水をつけて、気分を上げて、メリハリをつけている人もいました。

 気分転換やメリハリをつけるためにも、部屋着ではなく軽い仕事着に着替えたり、自分で在宅勤務用の服を決めてしまうこと、ぜひやってみてください。

在宅勤務でのメンタル不調を予防する3つめの方法は、設備投資です。

 在宅勤務に伴い、肩こりや腰痛の訴えは増えました。1日の仕事を食卓の机や椅子、中には床に座って、ちゃぶ台でこなしていること、デスクトップではなくノートパソコンを使うようになったこと、様々な要因があると思います。

 軽度の肩こりや腰痛は、適度な運動やストレッチで解消できます。しかし、在宅勤務の期間が長くなるにつれ、症状が解消されにくくなり、その結果、睡眠や日々の気分に影響が出てきてしまっている人たちもいました。身体が健康であることは、心の健康のために欠かせません。

 考えてみれば、在宅勤務している人は、起きている時間の半分以上を家の椅子に座っていると思います。いい睡眠には自分にあった枕が必要なように、日中快適に過ごすためには、自分にあった椅子や仕事環境が大切なのです。会社が、腰痛になりにくい、不快になりにくいいい椅子を提供してくれていたことに、在宅勤務後に気がついた方も多いのではないでしょうか。

 こう言った部分での援助をしてくれている会社は多くはありませんが、上手に対処している人は、コロナ禍の早い段階で、仕事用の椅子やデスクトップモニターを揃えていました。

 社員たちに買ったもの、よかったものを聞いてみると、全てがお金のかかるものではないようです。仕事用の椅子もいいものは10万円以上ですが、ゲーミングチェアなどはもっと安価です。また、ニトリやイケア を勧める声、多数ありました。自宅に新たにこのような椅子を置くスペースがない人も、骨盤サポートチェアやゲルクッションでもだいぶ効果があるようでした。ぜひ、お試しください。

 新型コロナ感染症の影響で在宅勤務という勤務形態が急速に広まっています。コロナ後も、ある程度は続きそうです。心身ともに健康に、最高のパフォーマンスを出せるよう、お役に立てていただければ光栄です。