「働く人の電話相談室」集計結果から見えた「相談相手」

毎年、WHOの定める「世界自殺予防デー」(9月10日)に合わせて、日本産業カウンセラー協会により「働く人の電話相談室」が開設されています。

そして10月下旬、今年の集計結果等が発表されました。(http://www.counselor.or.jp/Portals/0/resources/pdfs/151026「働く人の電話相談室」相談内容集計表.pdf

今年は3日間で、計736件の相談が寄せられています。この数字は、大体例年の平均値くらいといえます。
3日間で700件を超える数の相談が寄せられていることを考えると、有効に利用されていると感じます。

-相談内容の種類

相談内容としては、「職場の悩み」が大多数となっています。「働く人の電話相談室」という名称を付けているのも関係しているのでしょう。

その「職場の悩み」の中でも「人間関係」に関するものがトップです。
人間の悩みの多くは人に関係するもの、などと言われるほどですから、腑に落ちる結果ですね。

-悩みを相談する相手は?

今回の集計の中でとても興味深かったことがあります。
悩みを相談する相手に関する調査です。

相談相手として「公的機関」を挙げた人が22.3%となり1位でした。
次いで「同僚」としたのが12.5%なので、「公的機関」がダントツともいえます。
これは私には予想外の結果でした。

そのほかも「医者、産業医」や「カウンセラー」を選んでいる方が「知人・友人」や「家族」を選んでいる方とほぼ同等なのも驚きました。

それだけ、「悩みを外部の専門家に相談する」ということが浸透してきているのでしょうか。
また、会社に所属している人であれば、会社がそのような環境を用意しているのかもしれません。
さらに、このような場所に電話相談をしてくれる方だからこその結果なのかもしません。

いずれにしても、家族や友人を大きく超えて、公的機関や専門家に相談をしている人がいるのは本当に予想外でした。

日本ストレスチェック協会の講座「不安とストレスに悩まない7つの習慣」や、著書(共著)「ストレスチェック制度対策まるわかり」の中でも著者陣が触れていますが、悩みを誰かに相談すると「解消する」または「気が楽になる」という厚生労働省の調査結果があります。

私は「なかなか周りに話せる相手がいなければ、無料相談機関も増えてきているので専門家の利用も考えてくださいね。」ということをよく言っているのですが、今回の調査結果でそのような状況が見て取れたので、少しだけ安心しました。
あくまでも一つの視点、一つのタイミングでの調査結果なので、一概にはいえないでしょうが。

「こころの耳(http://kokoro.mhlw.go.jp/agency/worker/)」でも各種相談機関等が紹介されていますので、そちらも参考になると思います。

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宮﨑 貴幸
社労士オフィスみやざき 代表(http://www.som-net.com
特定社会保険労務士、産業カウンセラー
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