背景
・労働者の約6割が強いストレスがある。(厚生労働省 労働者健康状況調査)
・自殺者の3割が労働者(警視庁資料)
・気分障害患者数は過去12年で約2.5倍(患者調査)
・精神障害の労災認定件数が3年連続で過去最高を更新するなど増加
・メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業場の割合は47.2%(2011)。2020年に100%を目指す。
ストレスチェックのシステム
1.労働者の心理的な負担の程度を把握するための、医師・保健師による検査の実施を事業者に義務付ける。
2.事業者は、検査結果を通知された労働者の申出に応じて医師による面接指導を実施し、その結果、医師の意見を聴いた上で、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮など、適切な就業上の措置を講じなければならない。
3.従業員50人以上の事業場は義務、49人以下の事業場は努力義務。
○ 医師又は保健師による労働者の精神的健康の状況を把握するための検査を行うことを事業者に義務付ける。
○ 労働者は、事業者が行う当該検査を受けなければならないこととする。
○ 検査の結果は、検査を行った医師又は保健師から、労働者に対し通知されるようにする。医師又は保健師は、労働者の同意を得ないで検査の結果を事業者に提供してはならないこととする。
○ 検査の結果を通知された労働者が面接指導の申出をしたときは、医師による面接指導を実施することを事業者に義務付ける。
○ 面接指導の申出をしたことを理由として不利益な取扱いをしてはならないこととする。
○ 事業者は、面接指導の結果、医師の意見を聴き、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な就業上の措置を講じなければならないこととする。
ポイント
1. 厚生労働省は、標準的な9項目の質問を提示していますが、各事業場で独自のチェック項目を作成しても構わないという見解が示されています。
この9項目の設問により、労働者は自分自身のストレス状態について簡易に検査できますが、専門家からは以下の課題点が指摘されています。
2. 一般健康診断と異なり、プライバシー保護の観点より、検査結果は医師または保健師から労働者に直接通知され、労働者の同意を得ずに検査結果を事業者に提供することはできません(一般健康診断では、健康診断結果は事業者にも通知されます)。
3. 面接指導は、産業医のいる職場は産業医が関与することが望ましい。
4. メンタルヘルス健診(ストレスチェックてテスト)については、専門家により以下問題が指摘されています。
・高ストレス群該当と判定された方の中で実際にはメンタル不調ではない方が多く含まれ、対応が非効率となる可能性がある
・個人のストレス症状・不調のみしか把握できず、職場環境の改善など一次予防(未然予防)につなげることは困難である
5. 労働安全衛生法改正案で定める基準はメンタルヘルス対策に関する最低基準であり、事業者には法案で求められる基準を超える、より先進的な取り組みが奨励されています。
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