人から学ぶ

みなさん、こんにちは。キャリアコンサルタントの奥 富美子です。

『「創造する」大人の学びモデル vol.2 ~アウトプットから始まる、学びのサイクル』(リクルートワークス研究所 2019年3月発行)には、「人から学べない人」と「人から学べる人」について特徴が記されています。https://www.works-i.com/research/works-report/item/190329_learningvol2.pdf

「人から学べない人」の特徴は、「自分が他人からどう評価されるかを気にする/他者を低く見ることで自分の優秀さを証明する/失敗の原因を自分以外に求めようとする/「正解」を探すことに必死になる/完璧主義」とあります。

「いるいる、こういう人」と思い浮かびます。
こうした考え方や行動のクセをもって育ち、大人になったのでしょう。
この人たちの家族や部下は、どのような接し方をされているのだろうかと、要らぬ想像までしてしまいました。「人から学べない人」は、なんだか苦しいことが多く、笑顔が少ない過ごし方をしているように思います。

一方、「人から学べる人」は、「自分を向上させることに関心を向ける/他者からの評価や失敗することを恐れない/失敗から学ぼうとする/「正解」はないと知っている/最前主義」が特徴だそうです。こちらの人は、イキイキとしている様子が浮かびます。

これらは、「働く大人」を対象とした調査ですが、年齢に関係なくおきている現象のように思います。
幼児期から少年期青年期を経て大人へとなっていく生育の過程で、
無意識のうちに思考のクセや行動の習慣が身につきます。
明るく元気に過ごせるような思考のクセ、行動の習慣だといいのですが、
「他人と一緒に働く」ようになると、マイナス影響が本人にも周囲にも起きるでしょう。

個人の「暑い寒いも、空調を調節しない教員が悪い。すべきことをしていない」と、口頭で発言するのではなく、「リアクションペーパーに書く」ことで発信する大学生は、一方通行のコミュニケーションを学んできてしまったのでしょう。
仕事をするようになったら、「自分の都合を紙に書いて終わり」などありません。
「〇〇君!」と叫んで呼びつける上司は、「怒鳴りつければ言うことをきく」と勘違いのまま学んでしまったのでしょう。「しばらくして不調で休職したり、突然退職したり」が発生する可能性大です。

子どもたちを、「自分を向上させることに喜びや楽しみを見出し、イキイキとすごす大人に育てたい」と思います。それには「大人のかかわり方」が大きな影響を及ぼします。私たち大人が、自分自身に目を向けることが必要かもしれません。

他人と比較した成績順位に、「なんで下がったの!」と親から責められてやる気になる子どもはいないでしょう。「前回以上に、今回は勉強をがんばってたのにね」と、プロセスを認め、労う言葉かけをすることが大切です。「どんな言葉かけをすれば、子どもがやる気になるのか」を考え、試してみる。そんな親の学びの機会ともなります。

「子どもはもちろん、若者は経験が少ないから、教える相手ではあっても学ぶ相手ではない」ととらえるのは、もったいないと思います。「偏見は学びを妨げる」と、このレポートにはありました。

さらに、「大人の学びの極意」のページには、「異なる人とともにやる学び」として、「専門、年齢、職場、国籍、考え方の違う人たちと、空間を共有し、五感を使って、話し、一緒に楽しむ」とあります。これは、「『正解を持った誰か』から教わらない学び」だそうです。面白そうです。
 
 これまでの学びは、「テキストを使って一人でやる。いつか使う。起点はインプット」。これからの学びは、「コミュニケーションを使って、他者とやる。いま使う。学びの起点はアウトプット」とまとめられていました。人と人が集う場が重要です。「私はこう思う」と自分の考えを発言することもアウトプットです。

 子どもをストレス耐性のある大人に育てていきたいと思うとき、大人である自分自身が子どもにどんな接し方をしているかを問うときでもあります。自分自身が「異なる人との場を設けて、学んでいるか」をふりかえるときでもあります。

 日本ストレスチェック協会が提供する「子どものストレス対策(大人向け)講座~ストレスに強い大人になるために、子ども時代に身につけたいこと」では、「子どものストレスは大人のかかわり方次第」とお伝えしています。「大人がどうかかわったらいいか」を学べる講座です。大人自身が学ぶことで、子どもをサポートしましょう。子どもたちが心も体も健やかに育ち、笑顔で明るく元気に過ごしている世の中をめざし、ご一緒に学んでまいりましょう。

奥 富美子(おく ふみこ)
国家資格キャリアコンサルタント 
きゃりあす 代表
https://www.career-as.com/
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