上司と部下のすれ違い

みなさん、こんにちは。キャリアコンサルタントの奥 富美子です。
JMAM管理者実態調査2018(株式会社日本能率協会マネジメントセンター 2019/01/31発表)(http://www.jmam.co.jp/topics/1235209_1893.html)によると、
「管理者が行っているマネジメント(管理者自身の認識)」と、
管理者から受けているマネジメント(部下の認識)には、
ギャップがあるそうです。

管理者には「自分の行動について」、部下には「上司の行動について」聞き、
「そう思う」とする人がどれくらいいるのか調べています。
一番ギャップの大きい項目は、「メンバーから学ぼうとする姿勢を持っている」について、
「そう思う」とする「管理者は、80.6%」、「部下は、46.5%」で、そのギャップは「34.1%」となっています。

「メンバーから学ぶ」には、メンバー(部下)の話を聴くことが欠かせません。
私たちは、「人の話を聴いて学ぶ」ことが多くありますが、
相手が誰であれ、意識的に、真摯に話を聴こうとしないと、学びに結びつけることは少ないように思います。

次にギャップが大きいのは、「メンバーが仕事上で悩んでいるときに『視点を変える』『視野を広げる』ことに
つながるアドバイスをしている」
についてでした。

「管理者:83.8%」「部下:50.5%」で、ギャップは33.3%です。「視点を変えるアドバイス」も
「視野を広げるアドバイス」も、部下の話を十分に聴かないと、
部下が悩みを克服し成長に結びつくようなアドバイスをすることは難しいでしょう。
しかし、「上司は、『自分はやっている・できている』と思い込んでいる。
あるいは勘違いしている」フシがありそうです。
部下は「上司が話を聴いてくれない」と感じ、
上司は、「部下の話をよく聴いて適切なアドバイスをしている」と思っています。

調査結果をもう少し読み進めてみましょう。
管理者に対しては「これから重視していきたい行動」、部下に対しては「上司に期待する行動」を聞いています。
管理者第一位になった項目は、
「問題意識を持って、情報収集を行い、変化の兆しや組織の進むべき方向を的確にとらえている:20.7%」(部下の場合、第8位)でした。
この「問題意識を持って情報収集を行う」も、「人の話を、意識的に聴く」ことが欠かせないように思います。

一方、部下が上司に期待する行動の第一位の項目は、
「メンバーが気軽に相談できる雰囲気をつくっている:18.2%」(管理者においては、第11位)となっていました。
「話しかけやすい、相談しやすい雰囲気」を上司に求めているのは、「話を聴いてほしい、相談にのってほしい」ことがあるからでしょう。
相談したくても、「声をかけにくい、話しかけにくい」雰囲気が上司にあると、相談しません。
一人で悩みを抱えつづけることになる可能性があります。
この現実を、上司のみなさんに分かってほしいと思います。

上司は、「部下が気軽に相談できる雰囲気づくり」など、あまり重要と感じていないのかもしれませんが、
「雰囲気が悪ければ相談に来ない」ことに気づいてほしいのです。
「相談に来ないから、何事もなく進んでいるのだろう」と思っているのかもしれませんが、
そうではない危険も孕んでいると、想像してほしいのです。
そして、部下から声をかけてこないようなら、「上司から声をかける・話しかけてみる」を、ぜひ、なさってください。

「部下の成長」に、「相談に乗ること」ことは欠かせないでしょう。
メンタルヘルスの観点からも、「身近で見てくれる人、相談に乗ってくれる人」として、上司の存在は重要です。

上司と部下の認識のギャップを何とか埋められるといいのにと思います。
すれ違いではなく、きちんと向き合う関係になるといいのにと思います。
日本ストレスチェック協会では、上司と部下の良好なコミュニケーション、実践的ですぐに使える方法を学ぶ
「メンタルヘルス講座~みる・きく・はなす技術」をご紹介しています。
先の調査結果を他人事とせず、「今以上に良い関係、良い職場にする」ために、
職場のコミュニケーションについて、そして「聴く」の重要性について、ご一緒に学んでまいりましょう。

奥 富美子(おく ふみこ)
国家資格キャリアコンサルタント
健康経営アドバイザー
きゃりあす 代表
https://www.career-as.com/

1 Trackbacks & Pingbacks

  1. 日本ストレスチェック協会「ストレスチェックニュース」に寄稿しています。 – きゃりあす

Comments are closed.