日本ストレスチェック協会版メンタルヘルス健診対策2014年7月

2014-07-18

今日は、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事の私、武神が、2014年7月現時点において多くの企業に対して、産業医としてストレスチェック健診に関してお伝えして内容を、この動画でお話しいたします。すなわち、ストレスチェック制度が今どのような形になっているのか、企業としてどういう点に注意をすべきか、何が必要で何は必要でないのか、といった内容ですので、ぜひ最後までお聞き頂いて、御社のメンタルヘルス対策にご活用下さい。

まず、メンタルヘルス健診、ストレスチェック制度、どちらの名前が使われるかわかりませんが、これを語る時に、御社が実施されている安全配慮義務に関するあと2つの制度について、ぜひ思い出して、考えてほしいのです。この2つについて考えてみると、メンタルヘルス健診というものが非常にわかりやすくなってきます。

一番大切な安全配慮義務は、定期健康診断です。定期健康診断は、企業には実施義務があり、従業員にはそれを受診する義務があります。定期健康診断の結果は、一部は従業員、一部は会社に送られます。会社に送られた結果は鍵のかかる所に保管されて、産業医が見るということになっています。私もいつも見ています。

そしてこの制度では、年に1度、地域の労働監督基準署に報告書を提出することになっています。毎年報告書を提出しなければならないため非常に受診率が高く、日本全体の平均で80パーセントを超えており、私も多くの企業で8割は超えないとまずいのではないかとお話ししています。

次にあるのが、平成18年に始まった過重労働面談という制度です。この制度は、たとえば従業員の残業時間が月に100時間を超えているか、もしくは2ヵ月から6ヵ月の平均で残業時間が80時間を超えており、その従業員が疲労を自覚している、そしてその従業員が手を挙げて過重労働面談を希望している、この3つの条件が揃った時に、医師による面接指導を行わなければならないというものです。そして面接した医師は必要に応じて、「残業時間を減らしなさい」など事後措置という意見を会社に述べることになっています。

この制度は定期健康診断と違って労働監督署に対する報告義務はありません。面談が実施された時はそのことを記録したものを企業は5年間保管することになっています。おそらく、何かの理由があって労働監督基準署が企業に乗り込んだ時には、それを見せなさい、ということになるのだと思います。定期健康診断と違って労働監督署に対する年に1度の報告提出義務がないので、企業がどの程度、実施しているのかという点では、ピンキリです。たとえば残業時間が80時間を超えた人は全員産業医の面接を受けるという企業もありますし、60時間を超えたら質問表を送って、それで危ないと思われる人は面接をするという企業もあります。ほかにも例えば最初にナースが面接をして、次に医師というように段階を設けるなど、いろいろなやり方があります。残業時間を記録していない会社の場合は、残業時間に関係なく、疲労を自覚したら手を挙げなさいと指導をしています。

 

次に来年から始められると思われるのがメンタルヘルス健診です。これは今年の6月19日に、労働安全衛生法の一部を改正する法律が成立したので、来年から行われるのではないかと考えられています。

この制度では、50人以上の従業員のいる企業には実施義務が課されています。49人以下の企業には実施義務はなく、努力義務となっています。そして大切なこととして、従業員がこれを受けなければならないという受診義務はないのです。これに関しての記載は一切ありません。企業には実施する義務があるけれど、従業員には実施義務はないというのが定期健康診断と異なるところです。

もし従業員がそのストレステストで、高ストレス該当もしくはストレスリスク+と判定された場合、従業員が手を挙げれば企業は面談を実施しなければならない、そして医師による事後措置を仰がなければならないということですから、この点は過重労働面談と似ています。

報告義務に関しては、これもまた報告義務はなくて、その記録を保管するということになっています。ただし期限は今のところわかっていません。秋になればば厚生労働省からあらたなガイドラインが出るのかもしれませんが、とにかく現在のところメンタルヘルス健診というのは、企業には実施義務があるけれども従業員には受診義務はなく、過重労働面談によく似たシステムになっているということです。

以上、踏まえた上で、整理しなければいけないことが幾つかあります。まず、多くのことが未確定、不確定だということです。現在すでに、いろいろなEAP企業がこの制度に関するセミナーをやったり、独自のストレスチェックテストを売り込んだりしています。私も20社くらいの産業医をやっていますので、人事担当者から相談を受け、資料も拝見していますが、今の時点で確定していることはあまりないので様子をみていいのではないか、とお答えしています。

また大切なことは、従業員は会社が提供するストレスチェックを必ずしも受ける義務がないということです。拒否もできるし、他の施設でストレスチェックを受けることもできるのではないかと思います。

 もう一つ大切なこととしてメンタルヘルス健診の結果は、定期健康診断と違って従業員のみに送られます。ですから産業医という立場の人間ですら、その結果は確認できません。つまりもしそこで高ストレス該当と判定された場合でも、その人が手を挙げてくれない限り、会社は、もしくは産業医はまったくわからないわけで、その人は自分で行動を起こす必要があるというのが大切なポイントです。

では会社の方は何も知ることはできないのかというと、そうではありません。会社は、個人が特定されない形のマス・データを知って分析することは可能です。その辺りに、このストレスチェックテストを企業としていかに有効に活用していくかというポイントが含まれていると思います。

もう一つ最後に大切なことなのですが、ストレスチェックテストは診断テストではなく、あくまでスクリーニングテストにすぎず、病気があるかないかがわかるわけではありません。ですから医師でなくても提供可能であるということを覚えておかれると良いと思います。

 

以上がメンタルヘルス健診、ストレスチェックテストに関する概要ですが、それについて私が日常の産業医業務のなかで感じていることを、以下コメントとして述べさせて頂きます。

多くのEAP企業がセールスをかけていて、もちろん質の良いところ、歴史のあるところ、昔から質問表などしっかりやっているなど素晴らしいところもたくさんあります。ただ、なかにはやはり質の良くないストレスチェックテストも見受けられます。また、営業の人が何も答えられない、というEAP企業もあります。そういう現状を見るにつけ、私は自分のクライエント企業には不利益を被ってほしくない、つまり無意味なコストをかけて無意味な契約をしてほしくないと思います。またクライエント企業の社員にも、不利益を被ってほしくないのです。たとえば本当はリスクがないのにリスク+と言われたり、リスクがあるのにリスク-と言われたりするような間違った指摘されるのではないかといった心配が尽きません。そういう心配もあって、今回、日本ストレスチェック協会を設立いたしました。

具体的な懸念としてまず述べさせて頂きたいのは、このストレスチェックテストやEAP業者は、その透明性と信頼性にクエスチョンが付くということです。なぜかと言いますと、定期健康診断をもし誰かが業務としてやろうとすると、医師や看護師を雇わなければならず、医療機器を購入しなければならない、設備が必要ということで、非常に参入障壁が高いわけです。一方、このストレスチェックテストに関しては、医師はいらない、設備も不要、インターネットでの質問表があればいいだけで、非常に参入障壁が低いのです。つまりローコストでいろいろな業者が参入してきていることが、私の懸念する質の低さにつながっているのではないかということです。

懸念の2つめですが、このような何らかの質問表の利用によって、ある特定の集団のメンタルヘルスの状況が改善した、うつ病の人が減ったというデータはまったくありません。そういうデータ、エビデンスがないということを、厚生労働省も認めています。ですから厚生労働省は、一応9項目の質問というのを出しているのですが、その他のものでもいいですよ、御社で考えてくれてもいいですよ、と言っています。極端な話、1問でもいいということです。

また、これはとても重要なことなのですが、ストレスチェックテストの評価基準が非常にあいまいで不透明なのです。たとえば血圧や血糖値であれば数値がデータとして出ますから、仮に自分が健診を受けた医療機関の判定に納得がいかなくても、ネットで調べれば本当に大丈夫なのかどうかすぐにわかります。ところがストレスチェックテストの場合は、テストを提供している業者によってどこでカットオフするか、何をストレスとするかという基準が違いますから、非常にあいまい、つまりあくどい業者がいれば簡単に基準の変更が行えてしまうということなのです。たとえば同じようなテストをしてもA社では陽性率が20パーセントなのがB社では40パーセントとなることもあり得る、これは非常に大きな問題だと思います。

もう一つ、企業の担当者の方にはぜひ覚えておいて頂きたいのですが、多くのEAP企業というのは、ストレスチェクテストの後の、高ストレス該当者へのカウンセリング・サービスや産業医との面談サービスも、パッケージとして売っているのです。EAPも営利目的のビジネスですから、ストレスチェックテストでたくさんの人が陽性となれば、それをカウンセリングに結びつけられる、そういうことができてしまいかねないし、それをやられてもわかるすべがないということが、私は産業医として非常に危ないと感じています。もちろんすばらしいEAP企業もありますから、すべてのEAP企業がそうだと言っているわけではありません。

また、これも担当者の方に覚えておいて頂きたいのですが、最近メンタルヘルス健診の話がたくさん出てくるのですけれども、企業のメンタルヘルス対策というのは、このメンタルヘルス健診だけではありません。たとえば定期健康診断を受けさせることや過重労働面談をしっかりやることも、立派なメンタルヘルス対策です。他のことをちゃんとやっていないのにメンタルヘルス健診だけやろうというのもおかしな話ですので、これを機に他のメンタルヘルス対策についても見直して頂くと良いのではないかと思います。

そしてまた、産業医がいる企業であれば、手を挙げた人に対して産業医が面談をやればいいので、それほど急いで準備をする必要はないのではないかと考えています。

そこで、私が自分のクライエント企業にお話ししているポイントをお伝えします。

まずメンタルヘルス健診、ストレスチェックテストについてはまだわかっていないことも多いので、今の時点でEAP企業と契約するのはやめて、世の中の動向を観察してはどうですか、ということです。

私は自分のクライエントの従業員の方々ために、厚生労働省の指定する9項目の質問からなる無料のストレスチェックテストを、ホームページで公表しています。御社でこれをご利用になれば、簡単にストレスチェックテストの提供義務を果たすことができますので、ご検討頂ければと思います。

それから定期健康診断の受診率は80%を超えていますか?日本の全事業所の平均受診率は81.5%ですから、もしそれを超えていないのであれば、まずはこちらを見直すべきだと思います。

また過重労働面談をしっかりやっていますか?いい時期ですから、これも見直してみましょう。

そして全従業員向けにセミナーなどをやっていますか?ということもあります。

ストレスチェックテストが始まるにあたって、私が良いと思うことも何点かあるのですが、その一つは、一般の方々がストレスについて年に1度のテストを機にちょっと考えるようになるだろうということです。

今はいろいろな意味でストレスの多い社会だと言われていますけれども、ストレスにどう対応するかということについて、学校教育のなかで、あるいは社会人になってから会社で教わるということがほとんどありません。そのため、どんなに優秀な人でも、ちょっと気分が落ち込んだときに、コツを知っていればふっと戻ることができるのに、そうできずにどん底になってうつ病になって休職することがあり得えます。そういうケースを散々見てきました。もしちょっとしたコツを知ることによって、不安にならない、ストレスに悩まない、うつ病にならないですめば、それはすごく良いことであり、嬉しいことです。

このストレスチェックテストをきっかけに、ぜひ社員全員でストレスについて意識する機会をもって頂けるとよいと思います。ストレスというとどうしても暗いイメージがありますが、そうではなくて、明るいとまでいかなくてもニュートラルなイメージでストレスについて年に1度考えて、ストレスや不安で悩まないですむコツについて元気なうちから気にかける、こういうことが理想なのではないかと思ったことも、今回私が日本ストレスチェック協会を設立した理由の一つです。

 

協会のホームページには今、9問の質問が載っているだけですけれども、もう少しヴァージョン・アップした30問の質問というのもございます。こちらに関しては、この秋にセミナーを実施する予定で、そのなかで協会の理念や、テストの内容、使い方にご賛同頂いた企業様には無料でご利用いただけるようにしたいと考えております。ご利用の条件としては、セミナーにご参加いただき、ご理解いただくことです。何も考えていない企業にどうぞ、というつもりはありません。どのようにテストを使えば最大限に役立てることができるのかとお考えの方は、ぜひセミナーにお越し頂いて、その無料のテストを導入されるのもよいのではないかと思います。

 

最後に、協会のホームページ(http://jsca.co.jp/)の紹介をさせて頂きます。ホームページのトップページには、厚生労働省の薦める9問のテストがございます。今後、法律が改正されたり厚生労働省がガイドラインを変更したとしても、義務の最低限は満たせるものをこのページで無料にて提供したいと考えております。英語版もございますので、外資系企業の方もご利用下さい。

またスマホも対応しておりますので、このURLを社員にご案内頂いて、家でチェックテストをやりなさいという方法でも大丈夫です。そういう意味で、非常に匿名性も高く、利用価値のあるものだと考えておりますので、御社のメンタルヘルス健診対策に、こちらのテストをご利用頂けると良いと思います。

今回の話をお聞きになって、もう少し話を聞いてみたい、もう少ししっかりフォローしたい、秋になったらどういう情報がアップデートされるのか知りたいという方は、ぜひ、メルマガにご登録下さい。あわせて、秋に我々が予定しているセミナーにお越し頂けますとたいへん嬉しく存じます。その会場で皆さまにお会いできますこと、心より楽しみにしております。

今日はどうもありがとうございました。



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