(第4回) メンタル不調のサインとは? 【後編】

●身体の症状は、まずは年齢相応の検査が必要

 ストレス反応としての身体症状は分かりやすいです。しかし、全ての身体症状が必ずしもストレスによるものとは言いきれません。こうした症状は、ストレスのせいでなくても、肉体的な不調のせいで起こることも多々あります。

 例えば20代の人に度重なる頭痛や腹痛が出れば、ストレス反応である可能性は高いと言えるでしょう。しかし、50代、60代の人が度重なる「頭痛」「腹痛」などの症状を自覚した時は、まずは病院に行って身体の病気がないか検査を受けるべきです。年相応に見合った検査をして、それでも異常が見つからなければ、ストレスが原因と言えるかもしれません。

 最近相談で多いのは、腰痛や肩こりです。メンタル不調の初期症状のこともありますが、在宅勤務での机や椅子などの業務環境に起因している症状も多いと感じます。ですので、もし、このような症状があるのであれば、業務環境を整えることも心がけていただけるといいかもしれません。

●いつもと違う行動に、まわりはどう対処するべきか?

 最後に行動に出る症状ですが、職場でも家庭でも、まわりから見ていて、これは一番分かりやすい変化です。

 例えば、「衝動買い」「お酒の量やタバコの量が増える」「過食や拒食」「登校拒否」「出社拒否」「ひきこもり」などが一般的です。

 特に職場では、遅刻、早退、欠勤が増えたりします。集中力が低下してミスを多発したり、仕事の結果を出すのに時間がかかるため、時間外労働や休日出勤が増えたりします。また、ほうれんそう(報告、連絡、相談)が減ったり、職場での仲間との会話が少なくなったりすることもあります。

 しかし、テレワーク環境で、同僚から気づいてもらえる機会は激減しました。だからこそ、定期的にzoomなどで同僚たちと仕事の会議ではなくちょっとした雑談時間を設けられるといいですね。また、家族の指摘には真摯に耳を傾けましょう。

 もしあなたが同僚のそのような変化に気づいた場合は、「ちょっといいですか?いつもと違うけれど、どうしたの?」とちょっと声をかけてあげてください。

 とはいえ、自分の状態を自分がいちばんよくわかっていない、ということも少なくありません。相談した相手や、かかりつけの医者に、「原因は精神的なことじゃない?」と言われたら、端から否定したりせず「そういうこともあるのかな」と思える余裕を持ち、立ち止まって考えることも、重症化を避けるための重要なポイントと言えます。

以上、皆様の頭の片隅に、覚えておいていただけますと幸いです。