みなさん、こんにちは。キャリアコンサルタントの奥 富美子です。
「午前メール処理、午後資料作成」。新入社員の日報と思いきや、これを書いてきたのは管理職。
実際に何をしているのか分からず、部下への指示・助言も不十分。
テレワークにより管理職の課題が浮き彫りになったと、新聞で目にしました。
『テレワーク経験有無による、管理職のテレワーク意識比較調査』
(アデコ株式会社による調査、2020年8月17日発表)
https://www.adeccogroup.jp/pressroom/2020/0817_02
によると、緊急事態宣言(2020年4月)より前のテレワーク経験の有無が、
部下とのコミュニケーションやマネジメント意識に影響を及ぼしているそうです。
「テレワーク経験あり」の管理職の方が、経験がない管理職よりも高い割合で
「部下とのコミュニケーションが取れた」と回答しています。
そして、テレワーク経験のない管理職の4割は、「部下とのコミュニケーション頻度と時間が減った」と答えています。
管理職にとってテレワークの経験は、「部下指導力のアップ」に結びつける機会でもありそうです。
上司と部下の関係は、言葉をつかってコミュニケーションをとり、育んでいくものです。
テレワークをチャンスととらえ新しいコミュニケーションの取り方を模索していくことが求められます。
「会社に出社して対面で」でも、「オンラインで」でも、「コミュニケーションの機会」をつくることが重要です。
テレワーク中の部下を監視するようなマネジメントでは、部下のケアどころか逆効果となります。
「サボっていると疑われているのではないか」と思い込み、働き過ぎている部下はいないでしょうか。
コミュニケーション下手な部下にとっては、「ちょっと教えてください」と気軽に質問しにくいのが、テレワークの特徴です。
とくに新入社員は困っていることでしょう。
入社時からテレワークとなり、職場・組織への愛着形成がなされる時期に、職場の人たちとのコミュニケーションの機会を逸しています
これをどう補うか、上司からの働きかけが必要です。
職場にいれば、部下の様子が見えます。しかし、意識的に「観よう」としなければ、「部下がそこにいる」ことは分かっていても、変化に気づかないかもしれません。
上述のテレワーク経験のある管理職は、コロナ以前から職場で「部下を観よう」と意識し、様子がいつもと違うことに気づいたら「声をかけて話を聴く」ことを実践してきたことと思います。
テレワークになったとしても、これまでどおり「部下を観察し、声をかけて話を聴こう」と行動しているのでしょう。
部下指導には、部下のメンタルケアが含まれていて、日常のコミュニケーションが重要なポイントであることもわかっている管理職なのだろうと想像します。
「職場におけるストレスの原因は、半分が人間関係。だからこそ、周囲をケアするコミュニケーションが大切」と、
私たち日本ストレスチェック協会は考えています。
職場のメンタルヘルスを良好な状態で保つために、職場内の「相互コミュニケーション」の重要性と誰にでも簡単にできる方法を、
二つの講座「不安とストレスで悩まない7つの習慣」、「みるきくはなす技術」でお伝えしています。
コミュニケーションの取り方に「オンラインシステムを介して」が増えましたが、「上司と部下のコミュニケーションが重要である」ことに変わりはありません。
職場のコミュニケーションが、周囲をケアすること、お互いを支え合うことにつながっていくことを願っています。
奥 富美子(おく ふみこ)
国家資格キャリアコンサルタント
きゃりあす 代表
https://www.career-as.com/