【ステイホーム、時間と空間を区切りたい】

みなさん、こんにちは。キャリアコンサルタントの奥 富美子です。

夏休みが近づいてきましたが、今年は例年とは異なる夏休みの過ごし方になることでしょう。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、例年とは全く違う新年度のスタートでした。
卒業式が中止となり、入学式はできるのではないかと期待したものの状況は好転せず、入学式も入社式も中止となった2020年4月でした。

それからオンライン授業、テレワークと、「在宅」で過ごす毎日を多くの人たちが経験し、新しい生活様式を創り慣れようとしています。
初めて経験することへの戸惑い、いつまで続くのか分からない不安と、だれもがストレスを感じながら過ごしていることと思います。

私が住む地域では、小学校は集団登校です。
毎朝子どもたちが集まり、きれいに並んで歩いている姿を見送るママたちの井戸端会議は、変わらない日常として続いています。
学校から帰った子どもたちは元気に外で遊んでいます。子どもたちは、これからの社会を創っていく人たちです。彼らの甲高い声を聴くと、エネルギーを感じます。

明治安田生命が0歳から6歳までの子どもがいる既婚男女を対象として行った
コロナ禍における子育て世帯への緊急アンケート調査」(2020年7月7日発表)があります。
https://www.meijiyasuda.co.jp/profile/news/release/2020/pdf/20200707_01.pdf

ステイホーム期間中にテレワークを行った夫をもつ専業主婦の25%は、「夫に、今後テレワークをしてほしくない」と回答しています。
その理由は、「夫がずっと家にいることで家庭不和になり子どもに悪影響なため:36.4%」、「夫が子育てと仕事の時間のバランスが取れていないため:27.3%」、「子どもがいると夫がオンライン会議をしにくそう:18.2%」です。

オンライン会議に子どもの声や姿が入ってしまうと、自分も画面の向こうの人たちも、集中の妨げとなるのでしょう。
それでも「オンラインあるある」で、「こういうこと、よくありますよ。仕方ないですよ、今は。気にしないでいきましょう」と、寛容に受け止めてほしい気もします。ステイ「ホーム」のなかに、いかに仕事をする時間と場所を確保するか、難しいところです。
この工夫が創出された数か月だったのではないかと思います。

「ステイホーム期間を終えた自身の子育てに対する意識の変化について」を見ると、「積極的に子どもの面倒をみるようになった」「子どもの話をよく聞くようになった」「子どもとの絆が深まった」等で、夫の7割、妻の5割が子育てに前向きな意見を持ったとあります。

その一方で、「子どもにイライラすることが多くなった」は、夫:6.9%、妻:22.0%。「配偶者の育児にイライラすることが多くなった」が、夫:3.3%、妻:11.3%。「配偶者が育児に非協力的で負担が多くなった」が、夫:1.6%、妻:3.3%等で、妻の4割が子育てにストレスを感じているとのデータも載っていました。

ステイ「ホーム」で同じ時間と場所を共有する中、どのようにして個々の時間と場所を生み出し「区切り」を入れるか、ひじょうに悩ましいものですが方策を考えたいです。ストレスの感じ方は人それぞれ。ストレス対策もいろいろありです。一人で抱えすぎずに、だれかと分かち合うこともしてほしいと思います。

オンラインで距離を超えることができるいま、遠く離れた友人ともビデオ通話で会話することが簡単にできるようになりました。家族全員ステイホームであっても、うまく「区切り」を入れることができる知恵を授けてもらえるかもしれません。
それは、自分が全く気づかなかった方法かもしれません。同じことで苦労している者同士、話を聴き合うことで少しほっとするでしょう。だれかに話を聴いてもらう機会をつくりましょう。その話し相手は、ホームではなく「外に」いるのではないでしょうか。

オンライン新入社員研修で、受講者である新入社員から一番多くあった質問が、「お昼の休憩時間は何時からですか」だったという話をききました。これは母親からの質問を、子ども(新入社員)が講師に聞いているものです。ステイホームなので、母親は子どもの昼食を用意する都合上、時間が気になるそうです。
夫も子どももステイホーム。それぞれの仕事の都合に合わせて食事を用意するとなると忙しいでしょう。小さな子どもを持つ妻のストレスは、子どもの年齢があがっても継続しているのかもしれません。手を抜くことも必要では、と感じます。

日本ストレスチェック協会代表理事が執筆した『メンタルが強い人の習慣』(武神健之著、PHP研究所発行)に、「子どもがいる家で在宅ワークする親のストレス対策」として「効果があった事例」が紹介されています。
この項目の最後には、「あれもこれもやろうと欲張ることは、ときに自分を余計に苦しめてしまいます。完璧主義を捨て、仕事もいつもの8割程度でいいやと割り切るくらいの気持ちを持てるといいですね」とありました。
ぜひ、お読みいただけたらと思います。

前述のアンケートでは、子育て世帯で最も家計の支出割合が増えたのは「玩具・ゲーム・書籍」とありました。子どものための書籍だけでなく、自分の世界を広げるきっかけとして書籍を手にしているといいなと思います。

奥 富美子(おく ふみこ)
国家資格キャリアコンサルタント
きゃりあす 代表
https://www.career-as.com/