メンタルヘルス指針が改正されています

ストレスチェック制度の施行にあわせて、「労働者の心の健康の保持増進のための指針(メンタルヘルス指針)」が改正されています。
※厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/roudou/an-eihou/dl/060331-2.pdf
主な改正点は次のとおりです。

新たに規定された点

① 事業者が策定すべきとされている「心の健康づくり計画」の実施に当たっては、ストレスチェック制度の活用や職場環境等の改善を通じてメンタルヘルス不調を未然に防止する「一次予防」、メンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な措置を行う「二次予防」及びメンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰の支援等を行う「三次予防」が円滑に行われるようにする必要があるとされました。

② 衛生委員会等における調査審議において、ストレスチェック制度に関する調査審議とメンタルヘルスケアに関する調査審議を関連付けて行うことが望ましいとされました。

③ ストレスチェック制度は、各事業場の実情に即して実施されるメンタルヘルスケアに関する総合的な取組の中に位置付けることが重要であることから、心の健康づくり計画において、その位置付けを明確にすることが望ましいとされました。

④ 事業場外資源を活用する場合は、メンタルヘルスケアに関するサービスが適切に実施できる体制や、情報管理が適切に行われる体制が整備されているか等について、事前に確認することが望ましいとされました。

⑤ メンタルヘルスケア等を通じて労働者の心の健康に関する情報を把握した場合において、その情報は当該労働者の健康確保に必要な範囲で利用されるべきものであり、事業者が、当該労働者の健康の確保に必要な範囲を超えて、当該労働者に対して不利益な取扱いを行うことはあってはならないため、労働者の心の健康に関する情報を理由として、解雇、契約の不更新、退職勧奨、不当な動機・目的による配置転換若しくは職位の変更又は労働関係法令に違反する措置を講じてはならないとされました。

規定の内容が改められた点

① セルフケアとして、「ストレスへの気付きを促すためには、ストレスチェック制度によるストレスチェックの実施が重要であり、特別の理由がない限り、すべての労働者がストレスチェックを受けることが望ましい」。さらに、「ストレスチェックとは別に、随時、セルフチェックを行う機会を提供することも効果的である」という内容に改められています。

② 事業場内メンタルヘルス推進担当者について、「労働者のメンタルヘルスに関する個人情報を取り扱うことから、労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者を選任することは適当でない」という内容に改められています。

③ 労働者のメンタルヘルスに関する個人情報の取扱いについて、「産業医等は、診断名、検査値、具体的な愁訴の内容等の生データ又は詳細な医学的情報は提供してはならない」という内容に改められています。

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中山寛之(なかやまひろゆき)
中山社会保険労務士事務所代表 http://nsr-office.biz/
特定社会保険労務士
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