傾聴

悩みを聞くということ

すっかり、秋を感じさせるよう気になってきました。皆さんお元気ですか? 
さて、今回は何か問題があった時、色々な相談を受ける機会がある時の聞き方のお話をしたいと思います。
相談者は、課題解決をしてもらいたい人、ただ話を聞いてもらいたい人などニーズは様々です。
私の場合、社労士の資格取得直後は法令解説という「正論」を一方的に話して、制度理解はしてもらったものの「納得」の領域では相手にモヤモヤした気持ちを持たせたまま面談がクロージングしていました。
そんな試行錯誤の中、10年以上前になりますが「傾聴」という言葉を知ることとなりました。
カウンセリングやコーチングの分野では今や当たり前のことになっていますが、当時はまだ認知度が薄い分野でした。

ただ黙って聞くこと

一般論になりますが、男性は問題解決思考型が多いように思えます。つまりは「質問に関する回答」を求めます。
 一方女性は「聞いてもらうだけでスッキリした」という話をよく耳にします。 
いずれにしても、相談を受ける場合留意したほうがよい点は、相手の話に「同意」をするのではなく「聞いてもらえたというレベル」でクロージングができるかに、焦点を合わせることが必要かと思います。
というのも、同意をしてしまうということは、相談者の意見を「正しい」ものとして許容してしまい、後々問題になる恐れもあるからです。
ですから、最後には「○○さんの今の気持ちはわかりました。話して少し楽になりましたか?」というように、あくまで、気持ちを救い上げることに焦点を合わせることがとよいと思います。

聞き方のコツ

私がこの傾聴で注意しているのは、いろいろな聞き方(傾聴)本が出版されている中、早くからこの問題に取り組まれていた宇都出雅己さんの「いつのまにか心をひらいてしまう 絶妙な「聞き方」」という本で書かれている「意識の矢印」という視点です。
宇都出さんはNLP等のセラピストの資格をお持ちで、独自の視点からわかりやすく聞き方について本も出版されており、私の傾聴に関しての恩師ともいえる存在です。
 

意識の矢印

さて、ではこの意識の矢印とはどういうことでしょうか。詳しくは「いつのまにか心をひらいてしまう 絶妙な「聞き方」」に解説してありますので、お読みいただければと思うのですが、相談や悩みを聞くときに、相手の話を「自分の体験」に置き換えて話を聞いていないでしょうか?
あぁそういうことあるあると自分の経験に置き換えて話を聞くという姿勢です。これは、一見話を聞いているようで聞いていない状況です。なぜなら、相談内容を自分の問題として置き換えて話を聞き、相談者目線にはなっていない可能性があるからです。
一方、この人はなんでこのことで悩んでいるんだろう、なにを感じているんだろうと、相談者の意識に矢印を向けて聞いてみてください。つまり相談者の考えていることに興味をもってその視点から話を聞いてみることです。
この方法だと、相談者目線の傾聴になるので、相手も話したいことを素直に話してくれますし、話を聞いてくれたという納得度が増します。
たったこれだけのこと?と思われるかもしれませんが、聞く側の姿勢で格段に傾聴の質は変わってきます。
是非、何かの相談を受けたときは、自分目線で話を聞くのではなく、相談者目線で興味を示してお話を聞いてみてください。きっと、相談者も満足のいく時間になったと感じてくれると思います。

————————————————-
高﨑 陽介
横浜市内介護サービス事業者勤務人事担当
勤務特定社労士
http://blog.goo.ne.jp/fiveten46
————————————————-