ストレスチェックの実施に際して就業規則に定めておきたいこと

労働基準法において、従業員数が10人以上の事業場については、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署への届出が会社には義務付けられています。
就業規則は、その内容が合理的で、かつ周知されていることを前提として、従業員の労働条件となり得るものです。

ストレスチェックの実施等について

ストレスチェックを受検するか否かについては、従業員の意思が優先されます。
そのため、厚生労働省が示している指針においても禁止されるべき不利益な取扱いとして、「就業規則においてストレスチェックの受検を義務付け、受検しない労働者に対して懲戒処分を行うことは、労働者に受検を義務付けていない法の趣旨に照らして行ってはならないこと」とされています。
つまり、就業規則の中で、従業員に受検を義務付け、それに反した場合に会社が懲戒処分等を行うことを禁じているものです。
一方で、会社に対しては、ストレスチェックを実施することが法令によって義務付けられていますので、就業規則においてストレスチェックの実施時期や頻度、対象とする従業員の範囲等について明らかにしておくべきでしょう。
具体的には、就業規則へ規定しておくべき内容としては、定期健康診断などと同じになろうかと思われます。

就業上の措置について

会社は、従業員のストレスチェック受検の結果によっては、面施指導を経た後、医学的知見に基づく就業上の措置を講ずる必要が出てくるかもしれません。
そのため、会社が講ずる可能性のある就業上の措置については、就業規則に規定しておく必要があります。
具体的な事由としては「面接指導及び医師からの意見聴取の結果、会社が必要と認めた場合」になるでしょうし、その事由に該当した場合に実施すべきそれぞれの措置を例示しておくべきでしょう。
例えば、出張・時間外労働の制限や深夜業の回数の減少、休職などが具体的な措置の内容になるかと思います。
併せて、就業上の措置を解除する場合の要件も忘れずに明記しておくべきでしょう。
前述した指針においては、「就業上の措置を講じた後、ストレス状態の改善が見られた場合には、事業場の当該産業医等の意見を聴いた上で、通常の勤務に戻す等適切な措置を講ずる必要がある」とされています。
すなわち、何をもって「ストレス状態が改善」されたとするのか、その要件や必要に応じて産業医等の面談を受けることも明記しておくべきでしょう。

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中山寛之(なかやまひろゆき)
中山社会保険労務士事務所代表 http://nsr-office.biz/
特定社会保険労務士
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