世界保健機関(WHO)は2014年3月、1日の摂取カロリーに砂糖などの糖類が占める割合を【5%未満に】抑えるよう呼びかける指針案を発表しました。
これは標準体形の大人の場合、25グラム(小さじ6杯)に相当します。ちなみに、糖質1gは、4kcalに相当しますので、25グラムの糖質は100kcalということです。
WHOが2002年に同様の1日の摂取カロリーに砂糖などの糖類が占める割合に関する指針を出したときは、10gとしていましたので、2014年の指針では半分に減らしたことになります。
それほど、糖質(炭水化物)の過剰摂取が、世界の人々の健康に被害をもたらしていると考えられるようになったのでしょう。
なお糖質(炭水化物)の摂取ですが、必ずしも甘いものを食べなければ大丈夫というわけではありません。多くの人が何気なく食べている加工食品、これにたくさんの糖質(炭水化物)が含まれているのです。
どうして、そんなに健康被害が考えられる糖質が、加工食品にふくまれているのでしょうか?
それは、三大栄養素(糖質、たんぱく質(アミノ酸)、脂質)の中で、一番安いのが、糖質(炭水化物)だからです。つまり、作る側=売る側にとっては、一番、儲かるのが、糖質をベースとした加工食品だからなのです。
Food Desert(フード・デザート)という言葉をご存知ですか?
おやつのデザートではありません。
低所得者が、より安い食料しか手を出せず、健康的な食べ物にありつけることができない。そして、空腹感を簡単に満たしてくれるいわゆる糖質満載のジャンクフードばかり食べ、どんどん非健康的に(肥満に)なっていく。
このように、十分な食料のある都会で暮らしながらも、健康的な食事にありつけない「現在の食の砂漠」を「Food Desert」といいます。(Food Desertについて詳しい話は以下リンクを参照ください。http://www.nationalgeographic.com/foodfeatures/hunger/)
どうやって糖質の摂取を減らしたいいの?
一番簡単な、摂取糖質の減らし方は、まず、飲み物からの糖質摂取を減らすことです。つまり、甘い飲み物をやめることです。具体的には、甘い炭酸飲料水はやめる、お茶やコーヒーは砂糖なしで飲むことで、飲み物からの糖質摂取を減らすことは簡単にできます。
2013年のアメリカの飲料食品データによると、誰もが知っている以下ドリンクにも、たくさんの糖質があることがわかります。
■ コカ・コーラ(炭酸飲料)600ミリリットル入りのボトル1本に含まれる砂糖の量は65グラム。
■ ペプシ(炭酸飲料)600ミリリットル入りのボトル1本で砂糖69グラム。
■ レッドブル(エナジードリンク) 470ミリリットル入り1缶に含まれる砂糖は52グラム。
■ スターバックス・アイス・フレーバー・ラテ(コーヒー系)低脂肪乳を使い、好みのシロップで味付けしてもらった場合、グランデサイズ1杯に含まれる砂糖の量は28グラム。
■ リプトン・レモン・アイスティー(紅茶系)590ミリリットル入りのボトル1本で32グラム。
■ ミニッツメイド1100%リンゴジュース450ミリリットル入りのボトル1本で砂糖49グラム。
(通常果物を丸ごと食べる場合には、食物繊維のおかげで糖分の吸収はゆっくりになります。果物のジュースの場合は単糖類ではなく果糖なので、血中糖度の上昇は緩やかなはずという人もいますが、ジュースにしてしまうと食物繊維はほとんど残らないので、おすすめしません。)
繰り返しますが、WHOの2014年度ガイドラインでは、標準体形の大人の場合、糖質25グラム
が1日に摂取すべき糖質量 とされています。
甘い飲み物をとりたいな、と思われた際には、この摂取すべき糖質量と、前述の飲み物に含まれている砂糖の量を思い浮かべられてはいかがでしょうか。
以上、あなたのココロとカラダの健康管理にご活用頂けますと幸いです。
文責:武神 健之
一般社団法人ストレスチェック協会 代表理事
医師、医学博士、日本医師会認定産業医