ストレスチェック制度施行後の企業の課題

ストレスチェック制度開始後の課題:手を上げない高ストレス者をどうするのか

 平成25年の労働安全衛生調査(実態調査)によると、働く人で、強い悩み、不安、ストレスを持つ人は、52.8%と言われています。その強い悩み、不安、ストレスを持つ人たちに、「強い不安、悩み、ストレスを、相談できる人はいますか?」と聞いたところ、“いる”と答えたのは90.8%、“いない”:と答えたのは8.6%でした。

ストレスアンケート

でも実際に、「強い不安、悩み、ストレスがあるときに相談しましたか」と聞いたところ、“した”と答えたのは75.8%、“相談していない”は24.2%でした。実際に、4人に1人は、強い不安、悩み、ストレスを抱えても、人に相談できないことがわかりました。
 実際に相談したと答えた人たちに、「相談して「強い不安、悩み、ストレスは、解消されましたか?」と聞くと、“解消した”が33.1%、“解消はしなかったが気が楽になった”が56.2%、“解消もされず、気が楽にもならなかった”が4.7%でした。あわせると89.3%の人が強い不安、悩み、ストレスがあるとき、人に相談することにより解消するか、解消しなくても楽になったと答えています。つまり、約9割の人は、誰かに相談ができれば強い不安、悩み、ストレスがラクになるのです。
しかし、残念ながら、4人に1人の人は、相談する相手がおらず相談できないのが現状です。ストレスチェック制度で、高ストレス者が手を挙げてくれれば、手を挙げてくれた人に対応することは難しいことではありません。大切なことは、手を挙げられない24.2%に、どう対応するかです。
 私たちは、この24.2%の人たちこそ、本当に手を差し伸べる必要があるのではないでしょうか。しかし、日本人は、精神的なストレスを隠す傾向にあります。いまだに日本の会社では、ストレスやメンタルヘルスの話に関して、タブーであったり、周囲に知られることが恥ずかしいと思われがちです。これからの会社、人事担当者たちは、この手を挙げられない24.2%の人たちにどう対応するのか、が本当の課題だと思います。ストレスチェック制度の開始が、この課題解決の何らかのきっかけになれば大変嬉しく思います。

ストレスを抱えている人に面談を受けてもらうにはどうしたらいいか

 働く人の強い不安、ストレス、悩みは、話を聞いてもらうことにより、約9割は解消した(33.1%)もしくは解消しなくても気がラクになった(56.2%)と、平成25年の労働安全衛生調査(実態調査)ではなっています。しかしながら、強い不安、ストレス、悩みがあるときに実際に相談した人は75.8%に過ぎず、24.2%は実際に相談できなかった、相談できる人がいなかったと答えています。
 話せば9割はラクになるのに、4人に1人は話す相手がいない、話すことができない。この現状はどう対処したらいいのでしょうか。高ストレス者に面談を受けてもらうためには、いろいろな方法があると思います。会社により効果のある方法は異なるでしょう。以下、具体的な方法をあげさせていただきます。
・情報管理が徹底されていることを、しっかりと周知する。
・面談担当者を社員にしっかり紹介する。
・相談対応および補足的面接を設置して、社員が面談を希望したタイミングを逃さない。
・ストレスチェックテストの結果を開示しないで、面談を受けることを可能にするために、相談対応や補足的面接を活用する。
・面接指導を申し込んでも、会社にストレスチェックテストの結果を開示しないですむように、衛生員会で決めてしまう。
・手を挙げやすい窓口を設置する。面談(面接指導や補足的面談)の申し込み先を、実施事務従事者ではなくて、面談を担当する者(多くの場合は会社の人事ではなく、医師、保健師、看護師若しくは精神保健福祉士又は産業カウンセラー若しくは臨床心理士等の心理職)とする。