南海の酋長の演説

南海の酋長の演説

明けましておめでとうございます。昨年ははじめて執筆活動を開始し、多くの方にお読みいただき感謝の一年でした。ありがとうございました。
さて、今年はストレスチェック制度の導入がいよいよ本格的に開始され、我々日本ストレスチェック協会一同もその動向には注視しているところです。
一方、昨年末にストレスチェック協会代表理事武神が執筆した「不安やストレスに悩まされない人が身に着けている7つの習慣(産学社)」が出版され、今まではセミナーを通してストレスを予防の観点からお伝えしてきたものを、本としても皆さんにお届けできるようになりました。
今回はこの7つの習慣の「捨てる」について私個人に気づきをくれた、あるお話しをご紹介できたらと思います。

パパラギ(白人)の生活

小見出しからは何か、堅苦しい政治的なお話なのかなとお思いかもしれませんが、そのようなものではなく、ポリネシアの酋長がヨーロッパに行って見聞きしたことを国に戻って演説した内容が本として出版され、日本語版でも出版されている、「パパラギ 初めて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集 エーリッヒ・ショイルマン著 岡崎照男訳 学習研究社」について、私の気づきをお話しできたらと思います。
この作品は原著が1920年とかなり古い本です。当時は欧米の産業革命以降の高度経済成長の真っ只中の時代です。そんな中、ポリネシアの酋長ツイアビが実際に欧米に行き見聞きしたものを本国で語った演説を本人の了承を得て本にしたものです。ちなみにタイトルのパパラギは白人を意味します。

文明社会の行き詰まり

詳細については、本書をおとりになって是非ご覧いただきたいのですが、この時代にすでに、文明社会の行き詰まりを演説していることに着目していることに驚かされます。当時の欧米に追いつけ追い越せの日本とは真逆の自然とともに生きるポリネシアンの人々の生活の方がよいと発言している点です。
なぜ服を着る?靴を履く?など素朴な疑問から始まり、お金という今では当たり前の貨幣経済で、なんでも手に入れようとすることに疑問を投げかけています。演説を通して一貫していることは「際限ない文明発達への警鐘」です。 
思えば、我々日本人も文明発達は良いことのみであると、その便利さを疑う余地がなくなってきています。現にこうやって文章をインターネットで皆さんに提供できるものその一つかもしれません。
その意味では多くの情報・多くのものに溢れることが幸せであると感じてしまう自分が今ここにいます。 

本当に必要なもの

そこで、年始に当たり本当に必要なものって何かを皆さんも考えてみては、いかがでしょうか。なにも、すべてを断捨離して山にこもって仙人のような生活をしろということではありません。
身の回りに「便利だから」だけを理由にしているものはないか再確認してみてはいかがでしょう。当然、便利なものがなくなればストレスです。しかしながら、この便利をいったん捨てることによってストレスから解放される何かが人それぞれにあるような気がします。
皆さんがストレスフルな生活から脱出する方法のひとつとして、もし物欲で息苦しくなっているとしたら、本当に必要なものって何ですかと自問自答していただければ幸いです。
結構、必要のないものって身の回りにあるかもしれませんよ。

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高﨑 陽介
横浜市内介護サービス事業者勤務人事担当
勤務特定社労士
http://blog.goo.ne.jp/fiveten46
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