自分が気づけば、行動が変わる

 みなさん、こんにちは。キャリアコンサルタントの奥 富美子です。

 都民安全推進本部による『家庭における青少年のスマートフォン等の利用等に関する調査』(小~高校生の保護者が回答)(2021年4月28日発表)を見ると、「新型コロナウイルス感染症により子どものインターネット利用時間が増えた:約5割」、「ルールを守れないことが増えた:約1割」とあります。そして、増えたトラブルの内容として、「注意しても、長時間使用するようになった:59.2%」が、最も多いものでした。「そうだろうなぁ」と想像がつきます。「うちも一緒。いくら注意しても聞かない」と親御さんたちの声が聞こえてきそうです。

 ネット依存、ゲーム依存となっているのか、朝起きられない。親は怒る。注意をしたからといって、子どもの行動が変わることはなく、親のイライラや心配は増すばかり。悪循環は続き、親子は衝突し、家はボコボコになり・・・。こうした例を少なからず耳にします。「どうすればネットをやめられるんでしょうか。どうすればゲームをやめさせられるのでしょうか」と親御さんや先生方の悩みです。

 高校生の面談で、帰宅後何をしているか聞くと、ほぼ全員が「ゲーム、スマホ」と答えます。続けて、いつまでやっているのか聞いてみました。「時間を決めてます」や、「12時前には寝ちゃいます」と、ほどほどで切り上げている生徒たちは、「学校は楽しいです。友だちとしゃべるのが楽しいから、学校に行きたいんです」と、明るく元気に答えてくれます。話題は、ゲームやYouTube動画など、「スマホ、ネット」が介在しているようです。授業の休み時間は、即スマホです。のぞいてみると、スマホアプリを試しながら笑い合っています。

 一方、「学校は、別に・・・。ふつうです」と、静かに答える生徒の帰宅後の「スマホ、ゲーム、ネット」は、「日によって夜中の1時、2時のときもある」「ご飯のときは、呼ばれるから行くけど。さっさと食べて部屋に戻ってくる」といいます。「そのゲーム、どんなところが面白いの?」とたずねると、ゲームの内容を意気揚々と説明してくれる生徒がごく一部。「別に……。特に面白いってわけでもないけど」が多く聞かれる返答です。

 部活の制限、行事の中止など、授業以外で得られるはずの経験ができなくなっています。そんな日常でも、「いかに楽しむか」自分で考え創り出してほしいと思いますが、難しそうです。

 親は、「いつまでもスマホいじってるから、寝坊するんじゃない!」と注意をします。言葉で注意をして、子どもがその通りに行動の改善があれば楽ですが、そうはなりません。ゲーム三昧の子どもに困っているのは、親です。子どもはこの状況に何か困っているのでしょうか、問題だと思っているのでしょうか。

 子どもは、どうしたいのでしょうか。「あなたはどうしたいの?」。簡単に出ない答えにむけても、考え続けることをしてほしいと思います。

 私が担当する大学の授業科目「職業人生と健康」では、大学卒業後の職業人生においても心身共に健康で過ごせるようにしようと、ストレス対処法やコミュニケーションの取り方、自分の強みの見つけ方などを教えています。学んだことを試してみるようにと、毎週学びの実践を課してきました。学期末に寄せられた大学1年生の感想をひとつ紹介しましょう。

運動をすることで、健康やストレス解消につながることを知りました。やれば得になることがたくさんあったのでやりました。とても清々しい気持ちになり、体の調子も良くなったのでやってよかったです。これからも実践していこうと思います。睡眠や運動や食事に気を使うようになってから、とても活発に行動できるようになりました。中毒だったゲームもやめられました。ゲームに使っていた時間を運動や睡眠に変えることが出来たので、とても健康になったと思います」

 本人が気づき、本人が変わりたいという意思を持たない限り、周囲がいくら言っても変わらないでしょう。しかし、自分が気づけば、中毒だったゲームを止められるようです。子ども自身が、自分がどうしたいのか思い描けるようにするために、周囲の大人はどうサポートできるのか、私たちも考え実践していきたいと思います。

奥 富美子(おく ふみこ)

国家資格キャリアコンサルタント 
きゃりあす 代表
https://www.career-as.com/