子どもの自己肯定感を育む

みなさん、こんにちは。キャリアコンサルタントの奥 富美子です。
 文部科学省(第38回教育再生実行会議・平成28年10月)が示した『日本の子供たちの自己肯定感が低い現状について』を見てみましょう。「自己肯定感に関する項目は、学年があがるほど肯定的な回答が減少している」と出ています。なぜなのでしょうか。
「受験」を経験していくなかで、他人と自分を比べながら「学力」だけを見ていくことが多くなるからでしょうか。
「今の自分が好きだ」について、「小4:とても思う+少し思う:61.4%」、「中2:とても思う+少し思う:32.8%」、「高2:とても思う+少し思う:27.6%」と下がっています。

 もう少し見ていくと、「自己肯定感」に関する項目「自分には、よいところがある」「今の自分が好きだ」等と、
「達成感・意欲などに関する子供の意識」の関係について分析したグラフがあります。
「ものごとを最後までやり遂げてうれしかった経験はありますか」に「当てはまる」とした人は、
「自分にはよいところがありますか」に「当てはまる+どちらかといえば、当てはまる」が82.7%です。
一方、「当てはまらない」とした人は、「自分にはよいところがありますか」に
「当てはまらない+どちらかといえば、当てはまらない」が73.6%です。
達成感・意欲的な意識等が低い児童生徒ほど、
「自分には、よいところがある」「今の自分が好きだ」と回答した割合が低くなったそうです。

 ほかの面でも「自己肯定感」との関係を分析しています。
「学力(各教科の正答率)」、「規範意識(人が困っていたら積極的に助ける・友達が悪いことをしていたらやめさせる等)」
「自己有用感(人の役に立つ人間になりたい等)」は、いずれも「低いほど、自己肯定感が低い」となっています。
また、「社会・地域に対する意識」が「否定的なほど、自己肯定感が低い」とあります。

 つづけて、『子どもの体験活動の実態に関する調査研究』(独立行政法人国立青少年教育振興機構 平成22年10月)の「成人調査」のページを見てみましょう。「海や川で貝を採ったり魚を釣ったりしたこと・太陽が昇るところや沈むところを見たこと等」の「自然体験」や、
「米や野菜などを栽培したこと・ペットなどの生き物の世話をしたこと等」の「動植物とのかかわり」、
「かくれんぼや缶けりをしたこと・友人とケンカしたこと等」の「友だちとの遊び」、
「近所の人に叱られたこと・バスや電車で体の不自由な人やお年寄りに席をゆずったこと等」の「地域活動」など、
子どもの頃にこうした経験を多く積んだ人の方が、大人になってから、
「自尊感情、意欲関心、職業意識、規範意識、人間関係力」が高いようだと示されています。

 これらデータから、これからの社会を生きる子どもたちにとって、
「私たち大人の働きかけ」が重要であることが分かります。
幼児期・児童期は、「親の意向」による「子どもの活動」がほとんどだからです。「何かをやり遂げ、喜びを感じる経験」を、親はどのようにしたらサポートできるのか、考えたいと思います。

学生たちに「子どもの頃、外で遊んでいたか」聞いてみたところ、
「サッカークラブに入っていた。野球クラブに入っていた。だから外にいる方が多かった」との答えでした。
習いごとを用意されていて、それがたまたま外での活動だったとのことです。
純粋に「外で遊ぶ」は、小学校の校庭開放もなくなり公園も減った時代に、難しい経験なのかもしれません。
友だちとケンカをして、腹立ちや気まずさを感じる。こうした「気持ち」を味わうことも成長には必須でしょう。
でも、仲直りすることも経験します。
経験があれば、同じようなことが起きたときにも経験から学んだことを生かして行動するでしょう。
「ケンカと仲直り」も、遊びのなかで知らず知らずのうちに練習をしていたのですが、
「部屋で、ゲームを持ち寄り、背中合わせで遊んでいる」と、こうした経験はできません。
友だちの家を訪ねて「〇〇ちゃ~ん」と大声で呼びかけたとき、返事が聞こえなくても「留守なんだ」と思うだけで、
「自分が嫌われた」とは思いません。いまは、遊びの誘いも、携帯電話でアポ取りです。
LINEの既読有無や返事の文言に一喜一憂していたら、ストレスもうまれます。

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※「子ども」「子供」:引用元の表現をそのまま使用しました。

奥 富美子(おく ふみこ)
国家資格キャリアコンサルタント 
きゃりあす 代表
https://www.career-as.com/
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