若者たちに学びの機会を

 みなさん、こんにちは。キャリアコンサルタントの奥 富美子です。

『18歳意識調査~コロナ禍とストレス』(日本財団、2021/3)https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2021/20210325-55393.htmlを見てみましょう。「コロナ禍で感じたストレス」には、「外出自粛で思うように余暇を過ごせなくなった:91.1%」、「コロナ禍による進学・就職への悪影響:85.8%」、「オンライン授業など通常とは異なる学校生活:71.3%」とありました。今までできていた生活ができないストレス将来への不安が表れているようです。こうしたストレスや不安があるからなのでしょうか、閉塞感を感じているかについて、「感じている:50.4%」となっていました。

 しかし、「感じていない」人も「31.6%」とあります。3割の人は、感じていないのです。コロナ禍に暮らしていることは私たちに共通ですが、その生活をどう感じているかは異なっています

 また、一か月以内に経験したことの項目では、「不安やイライラが続くことがあった:36.8%」、「疲労感が続くことがあった:33.8%」などなっていました。しかし、一番多い回答は「上記のような経験はない:39.1%」です。

 もしかしたらこの4割弱の人は、不安やイライラを感じたとしてもそれが続かないように、そして疲労を蓄積しないように、自分なりの対処をしているのではないでしょうか。ネガティブな気分を持ち続けたり疲れを溜め込んだりすることが、決して心身の健康にプラスにならないことを知っているのだと思います。不安やイライラを感じない人などいないでしょう。制約の多い生活状況に慣れたとしても疲れることはあります。そんなときにも自分を放っておかないで、自分をケアするために何かをしているのだと想像します。

 しかし、自分をケアすることの重要性や具体的なストレス対処方法について、若者たちが学ぶ機会が学校教育のなかにあるのでしょうか。ほぼ無いように感じています。まずは大人が学んで自身のセルフケアを実践し、若者たちにも教えてあげましょう。知らないために不調を長引かせているのは残念です。

 日本ストレスチェック協会が提供しているセルフケアの講座「不安とストレスに悩まない7つの習慣」は、自分の不調に気づき対処する方法を伝えているものです。ストレス対処や不安対処について学んだ大学生の感想を、いくつか紹介しましょう。

 「ストレス」を重症化させないための対策として「好きなことする」というのを実践しました。「好きなことをする」といつの間にか「ストレス」を抱えていたのを忘れてとても楽しい気持ちになっていたことに気づきました。

 「ストレスのサイン」に自分で気づき対処することが大切だと学びました。私の「ストレス反応」はイライラする、耳鳴り、めまいというものなので、その反応に気づいた時にすぐに対処するようにしました。

 筋トレをして思ったのは、メンタルが強くなったのと行動力が上がったことだと思います。限界を決めずそれを超えるまで筋トレをするのでメンタルが自ずと強くなり、筋トレしようとする意識が湧いてくるためすぐに行動に移します。それが日常生活にも影響を及ぼしていると感じました。普段気にしていたことが気にならなくなりました後でやればいいやと後回しにしていたことが、すぐにやろうと行動に移せるようになったりして、後回しが無くなりました。筋トレを始めてとてもよかったと思います。

 漠然な不安に対しては紙に書き出すことが有効ということを学び、今抱えている不安要素を紙に書き出してみました。今まではストレス発散方法が分からなくて、ずっと溜め込んでいましたが、紙に書いたり人に話したりすることによってストレスが改善されてきました。また、感謝の気持ちを忘れずに伝えるようにしています。伝えられた日は必ずメモをするようにして、後日見返せるようにして嬉しい気持ちに浸れるようにしています。

 前まで落ち込んだときはどうしたら良いのか分からなかったのですが、講義を通して落ち込んだときは誰かに話を聞いてもらったり自分の好きな事をしたりして、リフレッシュすることが大事なんだなと感じ、それを生活の中に取り入れたら、あまり酷く落ち込まなくなりました。

 自分にストレスがかかったら今まで無視してきたのですが、講義の中でストレス反応について扱ったときに、自分と同じ状況にいたAさんの事例を見て、ストレスは体からのサインなんだなと気づくことができ、ストレスを無視することなく、発散する事も大事なんだなと気づくことができました。

 不安や気がかりが消えないコロナ禍の暮らしはストレスを抱えやすいものです。自分なりの対処法を持ち実践しましょう。

奥 富美子(おく ふみこ)

国家資格キャリアコンサルタント 
きゃりあす 代表
https://www.career-as.com/