親のかかわり

みなさん、こんにちは。キャリアコンサルタントの奥 富美子です。

子どもを育てる「親」の不安は、子どもが何歳になっても尽きないものです。
『平成25年度 小学生・中学生の意識に関する調査』(平成26年7月 内閣府発表※)では、
「青少年(小・中学生)」と「保護者」両方を対象に調査しています。
※参照:https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/thinking/h25/junior/pdf_index.html

まず、「青少年(小・中学生)対象の調査結果」を見てみましょう。
「ほっとできる場所はどこか」(1.家 4.塾や習い事 2.学校 5.図書館や児童館など 3.まちの中 6.その他 から一つだけ選択)を見ると、「家: 88.6%」「学校:7.1%」「まちの中:0.4%」「塾や習い事:1.1%」「図書館 や児童館など:2.3%」「その他:0.4%」となっています。

また、「家庭での生活の楽しさ」については、「楽しい(計):99.0%」(楽しい:86.0%+まあ楽しい:13.0%)、「楽しくない(計):1.0%」(あまり楽しくない:0.8%+楽しくない:0.2%)でした。

家庭での生活が楽しいのは、ほっとできる家族だからでしょう。
ほっとできる「場所」、私はこれを、「ほっとできる『人』がいる場所」ではないかと考えています。
「ほっとできる場所:家」が9割弱となっていますが、家以外にも「ほっとできる人がいる場所」がいくつかあると、
「家」に居ることが苦しくなったときに救いとなるのではないでしょうか。
祖父母、親戚のおじさんおばさん、塾の先生、ご近所の人、友だちのお父さんお母さんなど、
家族以外にも「周囲には、自分に温かなまなざしを注いでくれる大人がいる」と実感して育ってほしいと願います。
そして、自分の子どもだけでなく、身近な子どもたちにも手を差し伸べることができる大人でありたいと思っています。

つぎに、「保護者対象の調査」を見てみます。
「子供について不安に思うことがあるか」を聞いています。
「1.心身の病気 2.非行や問題行動 3.友人関係 4.勉強や成績 5.進学や受験 6.基本的な生活習慣やマナー・礼儀が身に付いていないこと 7.子どもの気持ちがわからないこと」の項目それぞれについて
「不安に思う・やや不安に思う・あまり不安に思わない・不安はない」から一つ選んでいます。

「不安に思う(不安に思う+やや不安に思う)」割合が高かったものを順に示すと、
1位:進学や受験:56.0%、2位:勉強や成績:49.3%、3位:基本的な生活習慣やマナー・礼儀が身に付いていないこと:34.6%」でした。
不安の中身が何なのかは分かりませんが、子どもの学業に関することは、約半数の保護者が不安に感じているようです。

また、「子どもの自発性をできるだけ尊重すれば、子どもは健全に成長する」という意見について、どの程度そう思か」を聞いたものには、
「そう思う(計):70.9%(そう思う:13.7%+どちらかと言えばそう思う:57.2%)、「そう思わない(計):28.8%(どちらかと言えばそう思わない:25.1%+そう思わない:3.7%)となっていました。

「子どもの自主性を尊重しながらも、学業が伸び、生活習慣やマナー・礼儀も身に着くにはどうしたらいいのか。
良くないとわかっていても、つい口や手を出してしまう」
は、保護者共通の悩みなのかもしれません。

ベネッセ教育総合研究所では、「幼児期から小学4年生の家庭教育調査・縦断調査」を毎年行っています。
2019年2月「同一の子どもについて、7年間(3歳~小学4年生)の変化をとらえる追跡調査結果・第5弾※」が発表されました。
※参照:https://berd.benesse.jp/up_images/publicity/press_release_20190225_.pdf 
      
幼児期が土台となるそうです。「幼児期に『物事をあきらめずに挑戦する』、『自分でしたいことがうまくいかないときでも、工夫して達成しようとすることができる』といった『がんばる力』が高く身についた子どもほど、
小学校低学年で『勉強していてわからないときに、自分で考え解決しようとする』
『大人に言われなくても自分から進んで勉強する』傾向が見られた」とあります。
「人に言われなくても、自ら進んで行動する」ことは、人生を通して必要とされる力です。
大人になって働くようになると、一層求められるものです。育成の種は、幼児期にあると伺えます。この後の追跡調査が興味深いです。

こうした結果には「親のかかわりが影響している」とありました。①年少児期に子どもの意欲を大切にすること(「子どもが自分でやろうとしているとき、手を出さずに最後までやらせるようにしている」、「しかるとき、子どもの言い分を聞くようにしている」、他)や、②思考の促し(「子どもの『どうして、なぜだろう』などの質問に答えている」、他)といった親の養育態度が、
幼児期から児童期の『がんばる力』に影響を与えているそうです。
子どもの成長に、親のかかわり方が重要であることが、これら発表資料を目にすると再確認されます。

「子どものストレスも親のかかわり方次第で軽減される」、「ストレスに強い子育てに必要な要素」などを伝えているのが、
日本ストレスチェック協会が提供する講座「子供のストレス対策(大人向け)〜ストレスに強い大人になるために、子供時代に身に付けたいこと〜」です。

日本ストレスチェック協会では、「がんばって『い』るね」の言葉かけを提唱しています。「がんばってね」と相手にがんばらせるのではなく、常に観察し、「がんばっているね」とねぎらいの言葉をかけます。
それは、相手の存在を承認することを伝えることになるからです。子どもに対しても同様です。
「学業成績をあげるために『がんばれ』」と言いたくなるところを、「子どもががんばっていときを見逃がさず、目にしたそのときに、『がんばっているね』と言葉をかける」ことにしましょう。子どもの安心や自信につながるはずです。
こうした「親のかかわり方」について、ご一緒に学びましょう。

(子供、子ども:引用元の表記をそのまま使用しました。)

奥 富美子(おく ふみこ)
国家資格キャリアコンサルタント 
きゃりあす 代表
https://www.career-as.com/