ストレスチェック制度を含め、会社がメンタルヘルス対策に取り組む際には、メンタルヘルス不調による休職を経て、復職という過程も想定しておかなければなりません。
従業員が復職するにあたって、会社としてはどのようなことに注意する必要があるでしょうか。
厚生労働省から公表されている「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(以下、「手引き」といいます)が参考になるでしょう。
「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」とは
この手引きは、メンタルヘルス不調により休職した従業員に対する職場復帰を促進するための事業場向けマニュアルという位置付けがなされています。
心の健康問題により休職を要することになった従業員が円滑に職場復帰するためには、職場復帰プログラムの策定や関連規程の整備等により、休職から復職までの流れをあらかじめ明確にしておくことが必要でしょう。
手引きでは、実際の職場復帰にあたって、会社が行う職場復帰支援の内容を総合的に示していますので、これらを参考にしながら、労使の話し合いの場である衛生委員会等において調査審議し、会社に見合った職場復帰支援に関する体制を整備・ルール化するとともに、啓発・教育の実施等により従業員へも周知を図ることで休職から復職までを体系化しておくべきでしょう。
なお、詳細については、厚生労働省のHPで確認してください。
URL: http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/101004-1.pdf
職場復帰支援の流れ
手引きにおいては、休職の開始から職場復帰までの支援の流れを下記の5つのステップごとに分けて説明しています。
なお、第4ステップと第5ステップの間に職場復帰があります。
・第1ステップ
病気休業開始及び休業中のケア
・第2ステップ
主治医による職場復帰可能の判断
・第3ステップ
職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成
・第4ステップ
最終的な職場復帰の決定
・第5ステップ
職場復帰後のフォローアップ
それぞれのステップごとに、会社のやるべきこと及び従業員にやってもらうべきことなどについて、解説がなされています。
休職が開始されてしまうと、どうしても休職中の従業員のことを放置してしまいがちです。
しかしながら、休職期間中といえども、労働義務が免除されているにすぎず、従業員であることに変わりはありません。休職から復職までの期間内に対応・実践すべきことは、会社、従業員それぞれがしっかりと把握しておく必要があるでしょう。
それらを誠実に実行していくことは、円滑な職場復帰に必ず役立ってくるはずです。
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中山寛之(なかやまひろゆき)
中山社会保険労務士事務所代表 http://nsr-office.biz/
特定社会保険労務士
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