相談対応体制の拡充にあたって

ストレスチェック制度に関しては、指針や通達、実施マニュアルが公表されるなど、12月の施行に向けてより具体的な内容が明らかになりつつあります。
ストレスチェックの実施をきっかけとして、従業員のストレスに対する関心が高まることが予想されます。
会社としては法律に基づく面接指導以外にもストレスチェック受検に連動させた、従業員からの相談対応を充実させることが望ましいでしょう。

相談対応を充実させるには

指針においても、従業員が高ストレスの状態で放置されないようにするために、「適切な対応を行う観点から、日常的な活動の中で当該事業場の産業医等が相談対応を行うほか、産業医等と連携しつつ、保健師、看護師若しくは精神保健福祉士又は産業カウンセラー若しくは臨床心理士等の心理職が相談対応を行う体制を整備することが望ましい」とされています。
方策の一つとして、事業場内外の資源で相談対応が可能な窓口について、積極的に情報提供(社内の産業保健スタッフ、社外の契約機関の相談窓口、公的な相談窓口等)していくということがあります。従業員に対して、情報を提供していくだけですからコストはほとんどかからないといっていいでしょう。
もう一つとしては、相談対応の体制を実際に整備する、もしくは拡充することが挙げられます。しかしながら、体制の整備・拡充となれば、相談窓口の人的な措置や社内規程の整備などに関して、少なからず費用が発生することになります。

助成金の活用

上記のような体制を整備・拡充する場合に使える助成金について紹介します。
「職場定着支援助成金」というもので、法定の健康診断以外の健康づくりに資する新たな制度、例えば、会社としてメンタルヘルスに係る専門家(医師(産業医、精神科医)、臨床心理士、精神保健福祉士、保健師、産業カウンセラー、労働衛生コンサルタント)が事業所の担当者や従業員に対して行う対面方式の相談制度などを導入する場合について、10万円の助成金が支給されるというものです。
また、その制度が適切に運用され、結果的に従業員の離職率の低下がみられた場合には目標達成に応じて60万円の追加助成がなされます。
ただし、対象となる分野の事業が限られているなど制約や要件などもありますので、詳細は、厚生労働省のHPで確認してください。
URL: http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/teityaku_kobetsu.html
このような制度を活用しつつ、ストレスチェック施行に併せて、ストレスを感じている従業員を放置しない環境作りを検討してみてはいかがでしょうか。

——————————————————————————————-
中山寛之(なかやまひろゆき)
中山社会保険労務士事務所代表 http://nsr-office.biz/
特定社会保険労務士
——————————————————————————————-