秋のマラソンシーズンに向け、続々と大会申込が始まっていますが、筆者の趣味のひとつに「ジョギング」があり、フルマラソンも走ります。
この話をすると、「よく走れるね。昔から走るのが好きなの?」という反応をいただくことが少なくありません。
しかし、筆者は運動部に所属していたにも関わらず、実は走ることは「嫌い」でした。
それが、社会人になり、運動する機会が激減すると、健康管理のためにジョギングなどの運動を始めました。すると、昔は5kmはおろか、1kmを走るのも嫌だったものが、今では「楽しく、気持ちよく」走るようになりました。
ここに何の差があるでしょうか?
-自分で決めることが大切
ここには「自己決定感」というものが大きく影響しています。
「自らの自由意志でその行動を選び、納得して取り組んでいるという感覚」です。
自分で決めて取り組んでいることに関しては、モチベーションが上がりやすいということです。
-モチベーションの種類
モチベーションには大きく分けて、「外発的モチベーション」と「内発的モチベーション」があります。
「外発的モチベーション」は、金銭的報酬や賞賛など、外部からの刺激によって強化されるモチベーションです。
大切なものではありますが、それを取り上げられたり、当たり前と感じるように麻痺してしまうことで、逆にマイナスの効果を生んでしまう可能性を大きく含んでいます。
そこで、それ以上に大切なのが「内発的モチベーション」です。
心理学者のデシが「内発的モチベーション」について説いているのですが、「有能感」と「自己決定感」という二つの要因が含まれているとのこと。
「有能感」は、自分の能力感覚、つまり「できる」と思える感覚といえます。
そして、前述の「自己決定感」は、周りから強制されているのではなく、「自分がやりたいからやっているんだ。」という感覚で、自分の中のモチベーションアップ、そしてモチベーションの維持にも繋がる根本となるものです。
冒頭のマラソンの話に戻ると、部活や体育で強制されてやっている、という感覚だと、モチベーションはあがるものではなく、社会人になって自主的にやるようになると、窮屈感がなくなり楽しんで続けられるようになった、というところでしょう。
もちろん、部活等でも自ら大きな目標や目的をもって取り組む場合は、大きなモチベーション維持になるのは間違いないです。筆者の場合は、そこが足りなかったのだと振り返ることができます…。
-従業員、部下のモチベーションを上げるには?
会社組織の中での「目標管理制度」にも同様のことが当てはまります。
従業員や部下のモチベーションがあがらない、と思うことがありませんか?
そのようなとき、仕事内容や人間関係なども重要ですが、「目標」という観点で、もういちど見直してみるのもひとつの方法です。
立てられている「目標」は、本当に本人が自分で取り組もうと思ったものでしょうか?会社や上司が押し付けているものではないでしょうか?
もちろん、組織なので、従業員が勝手バラバラに行動していいものではありません。
そのためには、会社の目標、部門の目標をしっかりブレイクダウンし、各個人目標に取り込めるようにしておくことが大切です。
そして、会社や上司が目標を導くときでも、きちんと本人へ説明し、本人の納得を引き出します。
ときどきは、その立てた目標の進捗チェックをして、本人のフォローも忘れずに!
形だけになりがちな目標管理制度を生きたものにし、会社に貢献できるようにするためには、従業員の目標だけでなく、モチベーションを管理することがとても重要なことです。
まずは「自己決定感」を意識してみてはいかがでしょうか?
宮﨑 貴幸
社労士オフィスみやざき 代表(http://www.som-net.com)
特定社会保険労務士、産業カウンセラー