今年の人事総務担当者にとっての二大課題と言われているストレスチェックとマイナンバー。どちらも「いろいろと決めなくてはならないことがたくさんあって、どうしていいかわからない」といった声をよく耳にします。
いずれも、一定の基準を超えていれば後は企業の判断に委ねて、企業の実態に合うように自由に制度設計してよいという仕組みであることが原因です。
ストレスチェックを既に実施している企業は大企業を中心に少なからず存在しますし、ほとんどの企業が個人情報保護の観点から少なからず情報セキュリティ体制の取組を行っているでしょう。そのような企業にとっては、ある規制ができたときに、もし一通りのやり方しか認められないとしたら、今までやってきたことを後退させなければならない可能性もあるわけです。それでは企業も困ってしまいますので、国としても一定の基準を示してそれを超えていれば後は自由です、という制度設計にせざるを得ないわけです。
(すでに取り組んでいる企業が新たな規制をクリアできているかという観点でのチェックをしなければならないという問題も存在し、意外にこれも対応が大変です。)
では、今までこういった取組をまったく(ほとんど)やってこなかった企業はどうすればいいのでしょう。実はそれほど難しいことではなく、一定の基準の最低ラインをクリアするところから始めればよいのです。しかしこれは未来永劫それでよいということではなく、実際に運用をしていくと、その企業の実態によって、もう少しここはきちんとやるべきだとか、逆に企業の実態に合っていないので、規制を下回らない範囲でやり方を変えてみるとか、そういった検討や工夫をしていくことが望まれます。
マイナンバーはまもなく10月から通知カードの送付がスタートしますが、ストレスチェック制度は平成27年12月1日が施行日であるものの、そこから1年の間に1回行えばよいとされていますので、まだ急がなくても大丈夫です。専門家の意見を聞いたり、他社の動向なども参考にしながら、予算なども勘案しつつできるところから始めてみるというスタンスで取り組んでみてはいかがでしょうか。
名前 加藤正紀 かとうまさのり
資格 社会保険労務士
会社名 社会保険労務士法人パーソネルワークス
URL http://www.personnel.or.jp/