衛生委員会等における調査審議事項と注意すべき点

厚生労働省から示されているストレスチェック指針においては、衛生委員会等でストレスチェック制度の実施方法等についての調査審議を行い、その結果を踏まえ、会社がその事業場におけるストレスチェック制度の実施に関する規程を定めることとしています。
そして、その規程については、あらかじめ従業員に対して周知するものとされています。

衛生委員会等における調査審議事項

衛生委員会等において調査審議すべき事項としては、ストレスチェック制度に関し、次に掲げる事項を含めるものとしています。
① ストレスチェック制度の目的に係る周知方法
② ストレスチェック制度の実施体制
・実施者、共同実施者・実施代表者、その他の実施事務従事者の選任、明示等。
③ ストレスチェック制度の実施方法
・使用する調査票、高ストレス者の選定基準、ストレスチェックの実施頻度・時期、面接指導申出方法等。
④ ストレスチェック結果に基づく集団ごとの集計・分析の方法
⑤ ストレスチェックの受検の有無の情報の取扱い
⑥ ストレスチェック結果の記録の保存方法
⑦ ストレスチェック、面接指導及び集団ごとの集計・分析の結果の利用目的及び利用方法
⑧ ストレスチェック、面接指導及び集団ごとの集計・分析に関する情報の開示、訂正、追加及び削除の方法
⑨ ストレスチェック、面接指導及び集団ごとの集計・分析に関する情報の取扱いに関する苦情の処理方法
⑩ 労働者がストレスチェックを受けないことを選択できること
⑪ 労働者に対する不利益な取扱いの防止

調査審議にあたって注意すべき点

見ていただくと分かるとおり、情報の取扱い等に関することが多くを占めています。
上記の⑤~⑨、それと②の実施体制に関しても個人の健康情報に触れさせる者を限定しているというところでは該当するでしょう。
情報の取扱い等に関しては、ストレスチェック制度を運用していくにあたっての重要な“鍵”となるといっても過言ではないと考えます。
この制度は、⑩で触れられているとおり、従業員に対して受検を義務付けてはいません。会社内での情報の取扱いが杜撰であったり、⑪でいうところの不利益な取扱いがなされたりということになれば、従業員は安心して受検することができなくなります。
そのようなことになれば、受検が義務付けられていない以上、受検をしないという選択をする従業員が増えることも想定され、この制度自体が立ち行かなくなる可能性も否定できません。
衛生委員会等での調査審議にあたっては、情報の取扱い等と不利益取扱いの防止に関しては特に注意しておくべき事項だと考えます。

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中山寛之(なかやまひろゆき)
中山社会保険労務士事務所代表 http://nsr-office.biz/
特定社会保険労務士
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