睡眠の時間と質の確保。そして、昼寝を積極的に活用!

梅雨も明け、本格的な夏が到来しました。
5月の暑さを思うとげんなりしますが、各所の予想では「平年並み」となるという情報が優勢です。それでも、夏が暑いことには変わりなく、熱帯夜で寝苦しい夜が続くことでしょう。
そんなときに気を付けたいのが睡眠不足。人間にとってとても大切な睡眠の量と質が不足することで、肉体的にも精神的にも悪い影響を及ぼす可能性があります。
積極的に睡眠時間を確保し、質を向上させることで健康を保つように心がけましょう。

「健康づくりのための睡眠指針」

昨年、厚生労働省が策定する「健康づくりのための睡眠指針」が11年ぶりに改訂され、新しい指針として発表されました。
冒頭、「睡眠12箇条」として、下記の標語が示されています。

①良い睡眠で、からだもこころも健康に。
②適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
③良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
④睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
⑤年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
⑥良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
⑦若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
⑧勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
⑨熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
⑩眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
⑪いつもと違う睡眠には、要注意。
⑫眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。

指針の内容は、要は「『いい睡眠』をしっかり取りましょう」、ということがさまざまな角度から紹介されているものです。
指針の資料は下記に掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000042751.pdf

この資料は80ページを超えるボリュームがあるものですが、最初の16ページまでに、前述の12箇条の意味、内容をわかりやすく噛み砕かれたものが載っています。それ以降は、その参考資料として、より詳しい統計などとなり、より詳しく知りたい人向けと言えます。
このような二重構成になっているので、とても読みやすく仕上がっているところに好感が持て、また、参考になります。

睡眠はとても大切なものです。
この睡眠に障害、つまり、「眠れない」や「寝ても寝た気がしない(熟睡感がない)」、「昼間に眠くなる」などの状態となると、仕事はもちろん、日常生活にも影響がでてしまいます。そして、体と心の両面における健康に支障をきたすこととなります。
昨今、PCやスマホなどの外部刺激、過重労働などの心身への負担、社会状況など、さまざまなことが影響し、睡眠障害が出ることが増えています。そこで、改めて睡眠を意識することで、より良い眠りを「つくって」いくことができるものだと思います。そのためにも、前述の指針は一定の役割を持てるのではないか、と感じています。(広く周知できれば、の話ですが。)

昼寝の効用

「昼寝」も、科学的根拠に基づいて、体調を整える役割を果たすことが証明されています。日中、30分以内の睡眠を取ることが重要で、あまり長く寝てしまうと、体が熟睡モードとなって逆効果ですので、15~20分程度が最も望ましいそうです。また、時間帯も重要で、15時までに取ることが必要で、それ以降となると夜の睡眠に悪影響を及ぼすために推奨できません。

働く方であれば、昼休み時間の前半に昼食をとり、後半を昼寝に充てるという方法も考えられます。昔から、工事現場等の肉体労働をされている方々は、休憩時間は積極的に体を休め、昼休み等は昼寝をしている姿をよく見かけますが、これはとても理にかなった休憩方法だったのですね。
外回り営業の方であれば、ちょっとした空き時間に効率的に休憩することも…?(もちろん、常識の範囲内で。)

ここ数年、「昼寝制度」を導入する会社の存在も耳にするようになり、中でも注目されたのが、埼玉県で住宅リフォームを手掛ける「株式会社OKUTA」。
生産性の向上だけでなく、副産物として、従業員の自律性も得られるようになったとのこと。米グーグルなど、国際的企業では、従業員用に「快眠マシン」と呼ばれる「ナップポッド」という機械を導入して、積極的に利用させているというケースもあります。
会社としてそこまでやるかどうかは別として、「適度な昼寝」が業務効率を上げて、結局は会社のためになるということが実証されています。メンタルヘルス不調の発生予防にも一役を担うことでしょう。

昼寝前にカフェイン摂取?

昼寝をする前に、コーヒーなどでカフェインを摂取してから眠ると、よりスッキリ目覚められるというデータもあります。
カフェインは眠りを妨げる覚醒作用がある物質ですが、体に吸収されて影響を与えるまで1時間程度かかります。よって、短時間の昼寝をする直前に摂取することで、カフェインが作用する前に眠り、そして目覚めた後に作用しだすという仕組みです。

さて、日中、それも勤務時間中に時間を取ることはなかなか難しいことでしょうが、もしも隙間時間があったら、実践してみてはいかがでしょうか?

しつこいようですが、元気を保つために睡眠はとても大切なもの。時間の確保、質の確保に気を付けて過ごしたいものです。そして良い睡眠をとるために、規則正しい生活、適度な運動等、当たり前ではありますが、その当たり前を実践することで、心身ともに健康に過ごしましょう。

宮﨑 貴幸
社労士オフィスみやざき 代表(http://www.som-net.com
特定社会保険労務士、産業カウンセラー