ストレスチェック制度の概要とは
制度の細かい点はさておき、簡単に言うとストレスチェック制度の概要とはどういうもの
でしょうか。
研修の場ということを想定して、次のような質問・説明を通じて述べてみたいと思います。
① その場にいる人をすべて含めて、1つの会社(事業場)と考えてもらいます。
② 皆さんに「ストレスを感じている」「ストレスがある」「ストレスを抱えている」などに
該当している人に挙手してもらいます。
③ 挙手した人に次の質問を投げかけます。
「では、そのストレスは前後左右の人と比べてどうでしょうか?高いですか、低いですか?」
おそらくは誰も明確には答えられないでしょう。個人的にストレスとはこういったものだと
捉えています。
ストレスに関しての基準はなく、個々人がそれぞれに感じている“程度”がよく分らないもの
なのです。
ストレスチェックの実施
続いて、そのような個々人が感じるストレスの基準があいまいな状況の下でストレスチェックを
実施するのだと仮定してもらいます。もちろん、どうしても受検したくない人は受けなくても
かまいません。
受検してもらうと各個人ごとに結果が通知されてきますので、いままであやふやだったストレスの
程度が明らかになります。
会社の中で、「自分はストレスが高いほうなのか、それほどでもないのか」、それが判明します。
ここは一つの会社内ですので、同じ基準が用いられることになります。
簡単に言ってしまうと、会社内でのストレスの“定規”によってその程度を測ろうというものです。
決め方はそれぞれの会社によって異なります。
身長計を例にしてみますと、ある会社では、身長が高い人が多いから190cm以上を
“高”身長といい、190cm未満の人はそれ以外とするというような決め方です。
そして、その“定規”で測った結果が“高い”場合には、選択してもらうことになります。
会社に面接指導を申し出るか、自分でクリニックを受診してみるか、それとも事業場外にある資源
(会社外にある公的な機関等)などに相談してみるのか。もしくは「何もしない」かです。
自身のストレスを知ってもらって
皆さんに選択してもらった結果、面接指導や受診などを通じて、メンタルヘルスの不調を未然に
防止することができたのであればこの制度は素晴らしいものになるでしょう。
しかしながら、注目してほしいのは、受検しなかった人と“高い”という結果だったにもかかわらず
「何もしない」ことを選択した人たちです。
さきに質問したとおり、おそらくは何らかのストレスを感じている人(挙手をした人)が多いはずです。
こうしたストレスも放置せずに、いかに拾い上げていくのか、会社内での運用を含めて
ストレスチェック制度の真価が問われるのはこの点かもしれません。
中山寛之(なかやまひろゆき)
中山社会保険労務士事務所代表 http://nsr-office.biz/
特定社会保険労務士