「労働災害防止計画」は、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画をいいます。この災害計画をもとに各都道府県で重点施策を取りまとめ、労働局が計画概要を発表し、各労働基準監督署が個別に臨時検査通称「臨検」を行い、計画内容の実施状況を調査し、不適格の企業には是正の指導や勧告を行い、企業は改善を図ることが一般的な流れです。
つまりはこの「労働災害防止計画」を検討し、各企業(事業場)で計画内容に対する対策を講じることが、労働基準監督署の臨検対策になりますし、そもそも労働者の職場環境の改善に寄与することになります。
「労働災害計画」は概ね5か年を意計画期間とし、今回の計画は厚生労働省が、産業構造の変化等、社会経済の変化に対応し、労働者の安全と健康を確保するため、平成25年4月~平成30年3月までの5年間を計画期間とする「第12次労働災害防止計画」を平成25年2月25日に策定されました。
第12次労働災害防止計画の基本的考え方
第12次労働災害計画では、以下の2点を基本的な考え方にして、各種の重点施策が検討計画され、実施するよう求められています。
○長期的な災害動向と社会情勢の変化を踏まえて、重点対策を絞り込む
○重点業種・疾病ごとに数値目標を設定し、社会情勢の変化も踏まえつつ進捗状況を評価する。
メンタルヘルス対策
メンタルヘルスの対策も重点施策として掲げられ、【目標数値】は対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上にすることが掲げられています。
また、【検討事項等】には以下が掲げられています。
○メンタルヘルス不調を予防するための職場改善手法を検討
○ストレスチェック等の取組を推進
○取り組み方が分からない事業場への支援を充実・強化
○事例集やモデルプログラムの作成により職場復帰支援を促進
【詳細な取り組み概要】については、厚生労働省「第12次労働災害防止計画」HPでご確認いただけますので、ご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/anzeneisei21/index.html
臨検対策で終わらせないこと
以上のように、厚生労働省からメンタルヘルスにかかわらず労働災害に関係する改善計画が出されていますが、多くの企業が「臨検」の対策として計画をとらえていると思われることが残念です。企業人事として10数年この問題に現場として取り組んでいる立場から申し上げれば、現場におけるメンタルヘルス対策を行うことは、職場環境の改善にもつながります。
また、他の労働災害を未然に防ぐ一助になるということを今一度原点に返って見直してみたいものです。
なお、厚生労働省も「臨検」というなの調査取り締まりだけでなく、今年末以降実施の「ストレスチェックテスト」の実施や、働く人のメンタルヘルスポータルサイト:こころの耳「 http://kokoro.mhlw.go.jp/ 」などを開設し広く予防の観点からも取り組みをしていることにも目を向けていただければ幸いです。
高﨑 陽介
横浜市内介護サービス事業者勤務人事担当
勤務特定社労士
http://blog.goo.ne.jp/fiveten46