小太り産業医:「いつも、ストレスチェックの事ばかり話しているので、たまには違うことを話さないと、皆が読んでくれないよ。」
人事担当者:「あらあら、いつもと違って先生弱気ですね。”いいね”が少なかったんで落ち込んでいるんだ・・・。」
小太り産業医:「そんなことないわ!」
人事担当者:「落ち込みやすい先生はAB型ですね!」
小太り産業医:「ちがいます。A型です。それにそういう決めつけが、新しいハラスメントを産んでいるんです。」
人事担当者:「どんな、ハラスメントです?」
小太り産業医:「ブラッドハラスメントですよ!」
昔から学校、職場、飲み会の席など大人数が集まる場所で血液型占い・性格判断がよく話しのネタになっていました。しかし、近年その決めつけられが新たなハラスメントととして認識され始めました。このハラスメントを「ブラッドタイプ(血液型)ハラスメント」として問題視する声が上がっていて、ヨミドクターで紹介されています。
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=119102
詳細は記事を読んで頂くとして、やはり「あなたはX型だから、こうだよね。」という決めつけを不快に思っている人が少なくない事を知って欲しいですね。私はA型ですが、別に真面目でもきれい好きでもありません。脱いだ服を洗濯機に入れずにそのままにしておくので妻によく叱られます。(笑)
既に九州大学からの論文で、完全に血液型性格診断が否定されているのも関わらず、信じ続ける日本人が多いという背景は、日本人がいかに”なんちゃって科学”を信用していることの表れかもしれません。
私も昔から主張してきたことですが。
①赤血球の表面にある抗原の違いだけで性格に影響する訳が無い。
赤血球は血液の成分の一つで、全身への酸素運搬など重要な役割を担っています。血液型はこの赤血球の表面にある抗原で決まります。しかし、血液型はABO型だけでは無く、MN型、Rh型と多数あります。ABO型が一般的に広がったのは、輸血の適合性を調べるために汎用性が高いからです。
単なる赤血球が性格を決めるのか?
例えば、白血病の治療に骨髄移植があります。骨髄移植を行うと血液型が変わってしまいます。では、性格も変わるのか?もちろん、変わりません!
②赤血球は血液脳関門を通ることができず、直接脳神経細胞に接する事も出来ない。それなのに性格に影響するの?
脳は血液脳関門というバリアがあり、分子量の大きい物質は通り抜けることが出来ないのです。脳を守るためのバリアで脳神経細胞に直接触れることが出来ない物質が存在します。そして、赤血球はこの血液脳関門を通り抜けることが出来ません!
脳神経細胞に影響を及ぼせないのに正確に影響があるのか?
③アメリカンインディアンがほとんど全てO型ですが、全員が同じ性格?
有名な話しです。全員が同じ性格なわけが無い。
科学的根拠のない血液型占いと性格判断がいつの間にかごちゃ混ぜになっていまい、何故か一定の評価を受けている。血液型占い・性格判断を信じているのは、世界でも日本と韓国ぐらいです。欧米では全く話題になりません。海外の方は血液型なんて気にしていないので、自分の血液型も知らない人は多いです。
飲み会の席で話題作り程度ならまだ良いですが、それでも不快に感じる人がいることを忘れてはいけません。
最近は何でも「ハラスメント化」され、コミュニケーションの矮小化も懸念されています。難しいところですが、日本人は比較的価値観が一様だった時代から、すでに多様の時代に入っています。職場でのコミュニケーションでも気をつけるべき事が多くなってきていますね。
人事担当者:「でも、先生この前の合コンでは血液型の話してましたよね!」
小太り産業医:「なにっ言ってるの!?(汗) 私は”A型で真面目”ですからそんな妻子ある身で合コンなんて行きません!」
文責:新井 孝典
一般社団法人ストレスチェック協会 理事
日本医師会認定産業医・労働衛生コンサルタント
株式会社なごや産業医事務所代表取締役
https://www.facebook.com/dr.occupational.physician