人事担当者:「あれ先生、今日のヘルシー愛妻弁当ですね。いつも、サッカーなら翼くん&岬くんと同じぐらいのゴールデンコンビのラーメン&チャーハン炭水化物ゴールデンコンビって言っていたじゃないですか。」
小太り産業医:「そうなんだよ。でも最近は、まぜそばの後に白飯投入がボクのトレンドなんだ、って違う違うそうじゃない。妻に人間ドックの結果を見られて、それから昼食は超ヘルシー弁当になったんだよ・・・。」
人事担当者:「あらら、食べたいモノを我慢するなんて、精神衛生上良くないですね。ストレスがたまりますよ。では、ボクはうどん&カツ丼を食べに行ってきます。」
小太り産業医:「絶対に保健指導該当者にしてやる!!」
今回は定期健康診断とストレスチェックの二つのイベントを通じて、従業員の自己保健義務を履行してもらうためにはどうしたらよいか?です。
つまり、結果から身体的健康と精神的健康を保つための行動に移してもらうためにはどうしたらよいのでしょう。
定期健康診断
普段から病識の高い従業員、一度病気になっている従業員は健康診断の結果を見て、食事や運動をして数値の改善に努めるか医療機関を受診したりします。しかし、健康診断結果表を一瞥してすぐにゴミ箱に捨ててしまうならまだしも、封も開けずにゴミ箱直行の従業員もいます。そんな従業員の結果が悪く、産業医面談となった時、自分の検査値やコメントを全く知らない人が多いのです。面談の際に自分の結果が悪い事を初めて知るという方もいます。
そんな従業員が面談の時のよく聞く言葉ベスト3を発表!
1位:「自分の体のことは、自分が良くわかっている!」
→ いや、わかっていないからこの結果なんでしょ!
2位:「忙しすぎて、運動できる時間がありません!」
→ じゃあ、残業禁止にしたら運動するの?
3位:「ぽっくり逝くからいいよ!」
→ ぽっくり逝けず、寝たきりになったら誰が面倒見るの?
そんな方が多い会社で私は提案したことがあります。
”従業員の同意を得た上で、2年に一度「親展」なしで自宅に郵送しましょう”
なんとか実現してくれた会社では期待した効果がありました。「妻」の存在です。健診結果を見た妻は旦那にこう言います。「あなた!何この検査値!!」と。結果、若干ではありますが受診勧奨のメールや手紙の返送率が上がりました。
実際に小太り産業医も、人間ドックの結果を見た細君から厳しいお言葉を賜っております。
「あなたが倒れたら、私はその重い体を介護できませんから。」
ただ、短所があります。最近は単身者世帯が増加しており、自宅に送ったところで本人しか見ないことです。特に独身男性では、既婚男性と比べて、循環器疾患で3.1倍、呼吸器疾患で2.4倍、外因死で2.2倍、全死亡で1.9倍の死亡リスク上昇が認められた研究があります。
http://publichealth.med.hokudai.ac.jp/jacc/reports/ikeda3/index.html
また、早死にリスクとして孤独が肥満の2倍とも言われています。
今後は増加する独身男性をどうやってケアして行くかが問題と言えるでしょう。
ストレスチェック
ストレスチェックの結果については本人にしか知らせることが出来ません。しかし、家族がその結果を知ってはいけないかどうかまでは明確な記載はありません。
また、衛生委員会等において調査審議すべき事項に下記の記載があります。
① ストレスチェック制度の目的に係る周知方法
ストレスチェック制度は、労働者自身のストレスへの気付き及びその対処の支援並びに職場環境の改善を通じて、メンタルヘルス不調となることを未然に防止する一次予防を目的としており、メンタルヘルス不調者の発見を一義的な目的とはしないという趣旨を事業場内で周知する方法。
私は事業者はストレスチェックの意義とその目的について配偶者を含めた家族にも周知することが、受検が任意であるこの制度の受検率を上げてくれるのではないかと考えています。
身体的疾患や精神的疾患にて休職に陥った場合、本人の負担もさることながら家族の負担も十分に考えられます。特に経済的負担は現実としてあります。家族と一緒に自己保健義務を履行して欲しいものです。
人事担当者:「昼食から戻りましたぁ~。先生、期間限定ハーゲンダッツ買ってきましたけど、食べます?」
小太り産業医:「はい、喜んで!」
文責:新井 孝典
一般社団法人ストレスチェック協会 理事
日本医師会認定産業医・労働衛生コンサルタント
株式会社なごや産業医事務所代表取締役
https://www.facebook.com/dr.occupational.physician