管理職のためのメンタルヘルス対策講座やコミュニケーション講座でよく聞かれる質問のひとつが、「うつ病の人に対するNGワードって何ですか?」です。
インターネットで探してみると、高頻度で見つかるのが以下のような言葉です。
1. うつ病の人を励ます言葉はNG:「がんばって!」「もっとできるよ!」
2. うつ病という病気を軽視するような言葉はNG:「本当に病気なの?」「どこが悪いの?」
3. やる気がないことを責めるような言葉はNG:「何でやらないの?」「また休むの?」
産業医として、上記すべての言葉をNGワードとすることに賛成します。
実際に産業医面談の中でも、以下のような言葉を職場で言われてショックだったと、うつ病を持ちながらも働いている社員から聞いたことがあります。
「なんで病気になるの?」
「あなたのテンションの低さについていけない…」
「どうせまた、すぐに診断書書いてもらうのでしょ。」
ではいったい、うつ病の人に対するNGワードってどれくらいあるのでしょうか?
答えは、「わかりません。」です。NGワードをあげだしたらきりがありませんし、実際にNGワードは多すぎて、暗記することはできません。
そこで、現役現場の産業医として、私は「うつ病の人に対するNGワードは何ですか?」と聞かれたときは、以下のように答えています。
“NGワードはありすぎて伝えきれません。伝えても覚えきれません。ただ、うつ病の人と話すときは、何か言う前にぜひ、以下の言葉を自分の心に投げかけてみてください。
「その言葉を言って、一番満足するのは誰ですか?」
”
その答えが「自分」の場合であれば、その言葉は言う必要のない言葉かもしれませんね。
以上、あなたとあなたの会社にとって、お役に立てば幸いです。
文責:武神 健之
一般社団法人ストレスチェック協会 代表理事
医師、医学博士、日本医師会認定産業医