寄り道をする


 みなさん、こんにちは。キャリアコンサルタントの奥 富美子です。

 仕事を終えて帰宅の途につくとき、職場で受けたストレスをそのまま背負っていることがありませんか。家で子どもを抱っこしたらいやな気分が無くなったり、好きな音楽を聴きながらのんびりお風呂につかっていたらストレス解消になったりと、気持ちの切り替えができるといいのですが、不快な気持ちを持ち続けて翌朝を迎えてしまうこともあります。そんな毎日が続いてしまったら、心身の疲労がたまることでしょう。

 平成28年 労働安全衛生調査(実態調査)によれば、現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は、59.55%で、その内容は、「仕事の質・量」「仕事の失敗、責任の発生等」「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」の順に多いものでした。

 「職場で感じたストレスは、職場に捨てて帰る。家にまで持ち帰らない」ために、職場で「寄り道」をしてから帰宅するのはどうでしょうか。退勤を打刻したあと、「ちょっとだけ話して帰る“寄り道部屋”」をつくったことがあります。寄り道部屋には「聴き手」がいます。「●●会議室で作業をしているけど、自由に立ち寄ってください。いつでもどうぞ」と職場の小さな会議室をつかいました。音楽をかけ、おやつを置き、資料整理などをしながら待っていただけです。

 「お疲れ様で~す」とスタッフが入って来て、「今日、~なことがあって、ガクッときた」とか、「~は、ほんと、イライラした」とか自然に話し出します。しゃべりたいことがあるのです。それを聴き手が聴いているだけです。「深刻に何かを打ち明けて、真剣に聴く密室」ではなく、明るいおしゃべりの部屋です。皆、家に帰ってやることがたくさんあるので長居はせず、立ち話で過ごしていく人がほとんどです。長くても10分程度の寄り道ですが、「へぇ、そんなことがあったんだね」「それは大変だったねぇ」と受け止めてもらえるだけでもスッキリします。「用はないけど、一休みしてから帰ります」と寄ってくれる人もいます。椅子に座って、おやつに手を伸ばしながら、「今日は~でしたね。~で・・・・・」と話し始めます。話したいのです。聴いてほしいのです。

 調査では、仕事における悩み・不安・ストレスがある人で、誰かに相談したら「ストレスが解消された、気が楽になった」とする人の割合は、92%でした。ほとんどの人が、相談したらストレスが解消され気が楽になるのです。相談相手を持ち、人に話を聴いてもらうことがいかに大切か分かります。

 また、平成29年度国民生活に関する世論調査を見ると、「日常生活の中で悩みや不安を感じているか」の問いに、「感じている」が66.7%でした。どのようなことが悩みや不安なのかを見ると、「老後の生活設計:57.9%」「自分の健康について:49.7%」「家族の健康について:41.9%」「今後の収入や資産の見通しについて:41.0%」です。私たちは、仕事でも日常生活でも不安や悩みがあるのです。

 さらに世論調査では、時間のゆとりの有無「休んだり、好きなことをする時間のゆとりがあるか」も調べています。「ゆとりがある:66.6%」「ゆとりがない:33.2%」でした。ほんの少しでもゆとりの時間を持とうとしたとき、「職場にいる間に10分のゆとり時間を持つ。そのための寄り道部屋」のアイデアはいかがでしょうか。

 日本ストレスチェック協会のストレスマネジメント入門講座「不安とストレスに悩まない7つの習慣」では、すぐにできるストレス対策の方法や様々な職場の実践例などをご紹介しています。

 「悩みは成長のために訪れる」といったのはカール・ロジャーズ(臨床心理学者)です。せっかくの成長の機会です。上手に悩みましょう。上手に悩む、つまり「自分で考えて、自分で決断できる」ようになることです。それには「良き聴き手」が必要です。私たちは、誰かの「良き聴き手」になれるはず。「話をする」「話を聴く」は、お互いにしていきたいものです。

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奥 富美子(おく ふみこ)
国家資格キャリアコンサルタント 
きゃりあす 代表
https://www.career-as.com/
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