母たちの雑談


 みなさん、こんにちは。キャリアコンサルタントの奥 富美子です。

 子どもたちも、新学期の生活にも慣れてきたころだと思います。毎日元気に学校に通ってくれることはありがたいことだし、今日は楽しかったと言って、学校であったことをいろいろ話してくれるのはうれしいことです。喫茶店で、中年女性二人の声が耳に入ってきました。どうやら高校生のお子さんを持つお母様方のようです。

 「Aさんは数学もできるから、理系も狙えそうよね」「BくんとCくんが赤点だって・・・」「D先生はいいわ。あの先生は熱いから。あの先生についていれば大丈夫だと思う」

 クラスメートの成績も、母親たちはよく知っています。こんなにも話題になっているのですね。先生に対する評価も厳しそうです。

 「うちの三番目、勉強はできないけど、英検2級は持っているの。なんでそんなに勉強できないのって、笑っちゃうほど。宿題は?宿題は?って、ちゃんと言っているのよ、私」

 「宿題は?」と声をかけるだけで、子どもがすぐに宿題に着手してくれたら楽ですが、そうもいきません。「宿題がんばって!」と励ましの言葉をかけたからといって、子どもが「宿題をやる」にはならないでしょう。 「勉強ができる」とは、おそらく「学業成績がいい」ことだと思いますが、「勉強をする」という子どもが努力しているプロセスにも目をむけ、「がんばっているね」と声をかけてほしいと思います。

 「人は言っても変わらない」とは、「日本ストレスチェック協会メンタルヘルス入門講座『みる・きく・はなす技術』」で伝えていることです。上司の思い通りに部下が動くわけではありません。人が「自分の言う通りに動く」ことは、望んでも難しいことでしょう。
 「がんばってね」と「がんばって“いる”ね」は、似たような言葉ですが全く違う意味の言葉です。自ら宿題をやり出したところを見たら、その場でそのときに、「宿題、がんばっているね」と言葉をかけてほめる大事さも、「みる・きく・はなす技術」でお伝えしています。

 「うちの娘、付属に行かせたのに美大に行きたいなんて言いだして! 何がやりたいんだ!って、ここのところ毎日親子喧嘩よ」

 何がやりたいのか、子どもに聴けば、きっと話してくれるでしょう。絵画なのか、彫刻なのか、デザインなのか、それを勉強して、どうしたいのか。自分の希望や考えがあるから「美大に行きたい」と言っているはずです。親が聴く耳を持ち、冷静な態度で聴けば子どもも話すのですが、「親は反論するだけ。ちゃんと聴かないから話さない」となっているのでしょう。おそらく「絵なんかで食べていけるのか! そんなの無理でしょ! 付属で大学まで行けるのに、どうして他を受験するわけ?!」等々、圧倒的に多くの言葉を発するのは、子どもよりも親でしょう。

 話を「聴く」ことは、誰でもできる簡単なことのように思えて、簡単ではないのが実情です。「みる・きく・はなす技術」の講座にお誘いしたいと思いました。上司と部下との関係におけるコミュニケーション技術からメンタルヘルスについて学ぶ講座です。しかし、コミュニケーションは上司部下に限ったことではありません。親子関係においても重要なことです。学び、知って、できるようになれば、親子関係も変わるのに・・・と思いました。

 「東大にいきたいとか、早稲田にいきたいとか、それを決めることが大事なのに・・・。大学が決めれば、方向が決まるから」

 方向を決めることは大事です。人は、「行き先」がなければ悩みます。どちらを向いたらいいのか、どの道を歩き出せばいいのか、うろたえるばかりで前進が実感できません。「ふしぎの国のアリス」のお話のなかで、アリスがチェシャ猫に、「私、これからどっちに行ったらいいの?」とたずねたところ、「どこに行きたいのか?」と質問されているくだりがあります。「どこに行きたいか」によって、「歩く道」が異なるのです。「どこに行きたいのか」を知っているのは、「自分自身」です。親ではありません。
 親が決めたことに、「何も考えずに従う」のではなく、「自分で考えて、気分で決める」ことが重要です。親たちは、子どもの決断を尊重できる人物でありたいと思います。ちゃんと話を聴き、より深く考えて決断できるように、必要なアドバイスや情報提供をして、見守ることができたらと思います。娘をもつ自分自身をふりかえる、平日午後の喫茶店でした。

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奥 富美子(おく ふみこ)
国家資格キャリアコンサルタント 
きゃりあす 代表
https://www.career-as.com/
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