子どもたちにありがとう


 みなさん、こんにちは。キャリアコンサルタントの奥 富美子です。

 新学期、子どもたちの成長が感じられるときでもあります。私が住む地域の話です。3年ほど前に開発された一画は、10世帯ほどの戸建て住宅が建ち、どのお宅も同じような年代の子どもたちがいるようです。子どもたちは学校から帰ると、通りにロウ石で絵を描いています。迷路のような、地図のような、すごろくのような絵を通りの端から端までいっぱいに描いています。その道はエネルギーが満ち溢れています。私の子どもの頃、ロウ石は白っぽい色一色でしたが、いまはカラフルです。黄色、ピンク、青と、見ていてとても楽しい絵です。

 道の絵を見ていると、子どもたちの成長が分かります。幼稚園児の頃は、「文字」はありませんでした。小学校に入学し、「ひらがな、カタカナ」が出てきました。「くうこう」「ホテル」など、子どもの生活経験から発する言葉が書かれています。しばらくすると「ちゅう車場」など「漢字」も登場するようになってきました。さらに、「単語」だけだったのが、最近は「文章」が出てくるようになりました。先日は、「ハートがあったらラッキー、リボンもあるよ」という素敵な文章を見つけました。雨が降ると、一気に流されてしまう子供たちの絵ですが、次にどんな絵が現れるのだろうと楽しみでなりません。どれほど大人に幸せを分けてくれているか、この道を歩くと思います。

 1年生になったばかりのころの少年は、毎朝大泣きしていました。「いやだぁ、行かない~」と毎朝です。集団登校の集合場所で他の小学生が少年を待っています。お母さんはどうしていいか分からず、きっと不安だったに違いありません。とにかく学校に行ってもらいたいと思ったのでしょう。泣いている息子の手をつかみ、もう一方の手を他のお母さんにつないでもらっています。少年は後ずさりするも、両の手は自分の母親と近所の誰かのお母さんに引っ張られ、引きずられて動いていきました。洗濯物を干す2階のベランダから見えるこの光景は、とても切ない気持ちになるものでした。

 毎朝決まった時間に聞こえてくる「いやだぁ、行きたくない!行かない~っ!」の激しい泣き叫びです。「あぁ、今日もだ~。困ったなぁ~」と、どこのお宅のお子さんか分からない少年のことが気になり、どうして行きたくないのか話を聴いてあげたい、心配するお母さんの話し相手もできれば、などと思いながらも、どうやって声をかけたらいいのか考えあぐねていました。

 あるとき、若い男性が少年を迎えに来るようになり、通学班とは別に二人で登校する姿を見るようになりました。担任の先生なのでしょうか。それとも、こうした少年をサポートする担当の方なのでしょうか。不思議なことに、まったく泣くことはなく、手をつないで歩いて行きました。しばらくすると泣き声は全く聞こえなくなりました。

 日本ストレスチェック協会の講座「不安とストレスに悩まない7つの習慣」では、「新しい出会い」を得ること、そのために「ワンパターンに陥らない」ことをすすめています。少年の手を引く人が母親から若い男性に変わり、声かけも「いいから行きなさい!」から「おはよう。行こうか」に変わり、両手をつかまれ引きずられて動いていたのが、若い男性とにこやかに会話しながら自分の足で歩くようになりました。歩く方向も、集団登校の待ち合わせ場所とは反対の方向です。

 手をつなぐ相手や進む方向の変化が、少年の心にどんなことをもたらしたのか分かりませんが、状況を良くしたいと思ったら、同じことの繰り返しを止めてみることも必要です。「新しい何か」を試してみることも重要です。試して違っているようなら、また新しい何かを試してみればいいのです。 
 
 新学期は、子どもの小さな心もストレスを抱えています。大人が大切に考えてあげたいです。この世に子どもがいなかったら、と想像するとゾッとします。殺伐とした暗くどんよりとした社会で生活することになるでしょう。子どもの笑顔や甲高い声は、周囲の人を幸せにします。とくに大人にとっては、元気の源になるほどの大きな存在であるはずです。子どもと接することで相当量のエネルギーチャージができます。私たち大人は、もっと子どもに感謝しないといけないと思います。子どもに「いつもありがとう」の言葉をシャワーのように浴びさせたいと思います。

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奥 富美子(おく ふみこ)
国家資格キャリアコンサルタント 
きゃりあす 代表
https://www.career-as.com/
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