心の居場所


 みなさん、こんにちは。キャリアコンサルタントの奥 富美子です。

 新学期、新年度で子どもの生活が変化するとともに、親の生活も変化しますね。塾の送り迎えが始まったりなくなったり、お弁当作りが始まったり終わったりして、それを喜びと感じたり、さみしさと感じたり、人それぞれにいろいろな思いを抱いていることでしょう。

 先日、駅からの帰り道、娘の同級生のママとバッタリ出会いました。久しぶりでした。「もう、やることがなくなっちゃった~。なんにもないから散歩でもしようかと歩きはじめたら腰を痛めちゃって。ようやく外に出られるようになったところなの」と話し始めました。「子どもたち二人とも働くようになったから帰って来るのは遅いし、外で食べてくることも多いから夕飯の支度はいらないし・・・」「お兄ちゃんは○○会社の広報でしょ。□□も希望通り◎◎会社に入れたからよかったの。遠いけど、電車は乗り換えなしの一本で行けるからいいのよね。がんばっているわ」と、社会人となっている息子たちの話は止まりません。

 □□くんは、私の娘(24歳)の、小学校時代の同級生です。ときどき駅で見かけます。「□□くん、こんにちは。S子(娘)のママです。」と声をかけると、恥ずかしそうに挨拶を返してくれます。小学生の頃のはにかんだ笑顔はそのままです。

 子どもが着実に大人になっている一方、親の子離れはそのスピードに追い付いていけないこともあるようです。子どもがみな働き始めて、「よかったじゃない。もうあなたも自由ね。自分の好きなことができるでしょ。」と言いたいところでしたがやめました。彼女はそんなふうには考えられないのです。息子たちが社会人となったことは喜ばしいことですが、反面さみしくてしかたないのです。「子どもの世話をする母親」であることで自分の居場所を確保してきたのでした。「子どもの世話をする必要がなくなった」とたん、「心の居場所」を見失ってしまったのです。

 不安とストレスに悩まない7つの習慣の一つに、「構える」があります。私たちの人生には、様々な出来事が起きます。自分にとって喜ばしいことも歓迎したくないこともあります。「○○大学合格」が望みですが不合格になることも想定されます。そのために第2志望、第3志望を受験するのは「構える」です。先を想定してあらかじめ準備をしておくことが、「構える」の意味です。

 子どもたちが独立し自分の手から離れることも、定年退職し会社に通勤しなくなることも、約束された未来です。分かりきっている未来に向けて、いま何をしておくかを考え行動することが「構える」です。「やること、人とのつながり、心の居場所」を失ってから新たに見つけ出すのではなく、失う前にあらかじめ準備をしておくことが大切です。「やることがない」は、「人とのつながりもない」になりがちです。「人とのつながり」を感じられないと、心の居場所が不安定となってつらいでしょう。

 いまから自分の「楽しい」「好き」をみつめ始めておきましょう。注意深く見れば、すぐそばに同じことを好きな仲間がいるかもしれません。散歩も誰かを誘ってみると、景色が違って見えるかもしれません。何をしているときが楽しいですか。好きなこと、好きなものは何ですか。好きなことをし始めてみると、自由な時間を得たことがが「うれしくてたまらない」になるに違いありません。

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奥 富美子(おく ふみこ)
国家資格キャリアコンサルタント 
きゃりあす 代表
https://www.career-as.com/
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